人工知能とIoT(インターネット・オブ・シングス=あらゆるものがネット接続されるようになること)の組み合わせで起きる第四次産業革命が、いま着々と進んでいる。
その第四次産業革命の中で、最初に我々の生活を変えようとしているのが自動運転だ。現に、トヨタ自動車は2020年に高速道路を自動運転できる車の発売を予定しているし、日産自動車も同じ'20年に、一般道を自動走行できる車を発売するとしている。
実は、その変化はすでに我々の手の届くところまで来ている。
12月22日に東京・丸の内仲通りで、ソフトバンクドライブが、自動運転バスの関係者向け試乗会を開催したのだ。東京都心の公道を無人のバスが走るのは初めてのこと。私も試乗させてもらったのだが、まだシステムが十分に安定していないので、明日からすぐに実用化というわけにはいかない。だが、バスの自動運転がすでに実用段階に入っていることは確実だろう。そうなると、すぐに心配されるのが、ドライバーの雇用問題だ。
'15年に野村総合研究所が発表した調査によると、10〜20年後に、日本の職業の実に49%が人工知能等に置き換えられるという。その調査が「消える職業」として挙げた職業の中には、電車運転士やタクシー運転手など、ドライバー系がずらりと並んでいる。そうなったら、確かにドライバーの失業問題は深刻になるかもしれないが、経済全体として見ると、自動運転は、大きな需要拡大をもたらすのだ。
人口が集中する東京中心部では、バスが5分おきに来て都民の貴重な足になっているが、郊外になると1時間に1本、田舎に行くと1日数本ということも珍しくない。利用者が少なく、頻繁に運行したら採算が合わないからだ。
しかし、バスが自動運転になれば、人件費が不要になる。バス事業の費用の6割は人件費だから、自動運転で劇的なコスト低減が可能になる。つまり、郊外や地方でも、頻繁にバスの運行が可能になるのだ。そうなれば、利用客は大幅に増えるだろう。
それだけではない。自動運転のバスはネットにつながっているから、利用者は、バスがいまどこを走っているのかをリアルタイムで知ることができる。そのため、バスが到着するタイミングに合わせて自宅を出ることが可能になり、ますます便利になる。
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 自動運転は何をもたらすか
2018.01.22 15:00
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