中東で輸入禁止になった「キッコーマン醤油」の余波

| まいじつ
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昨年、アラブ首長国連邦(UAE)の気候変動・環境省が、キッコーマンの醤油の輸入を禁じた。イスラム教で飲酒はタブーだが、イスラム教を国の宗教とするUAEも特別な許可を受けた店舗や外国人が利用するホテルやバー以外でアルコール類を売ることを禁じている。そのアルコールがキッコーマンの醤油から検出されたのが、輸入禁止の原因だ。

醤油はすでに中国や東南アジアなどで幅広く使われているが、中東ではまだ馴染みの薄い品物だった。その中東でも寿司をはじめとして日本食の人気が広がり、近年はUAEの大都市ドバイにあるスーパーでも手軽に日本ブランドの醤油が手に入るようになっていた。あるレストランでは、今回禁止された醤油を15年前から使っていたというが、一度も当局から“手入れ”を受けたことはないという。ではなぜ今回、禁輸処置がなされたのか。そこには大いなる誤解があった。

「キッコーマンがUAEやインドネシア、マレーシアなど東南アジアのイスラム圏向けに輸出している醤油は、シンガポールの工場で製造されているためアルコールが抽出されない製法を取っています。報道された記事を丹念に読むと『輸入禁止は日本国内の工場で醸造された醤油に限る』と書かれていたのです」(UAE駐在の商社会社員)

「理解不足」が招いた一件か

一般的な醤油は大豆と小麦に食塩水を混ぜ発酵させて作るが、この酵母によって小麦に含まれる糖分がアルコールに変わる。シンガポールの工場では、小麦がアルコールに変わらない製造方法を採用しており、この商品がUAE国内に輸出されていた。

「現にキッコーマンはノンアルコールの醤油を開発し、日本国内でも昨年8月21日から『ハラールしょうゆ』という商品名で発売しています。UAE向けには、当初からアルコール抜きの商品を輸出していたはずです」(食品専門紙記者)

それなのになぜ今回、輸入禁止措置になったのだろうか。

「どうやら当局は並行輸入された日本製造の醤油を検査したようで、公表はしていませんが、理解不足が招いたことを半ば認めており、実際にはドバイの店頭にキッコーマン製品が並んでいるようです」(同・記者)

“所変われば品代わる”ということわざの通り、キッコーマンは対策をしていたのだ。

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