平昌五輪のカナダ人金メダリスト、韓国から食用犬を救出して世界的な関心呼ぶ

Photo by justbarbara(写真はイメージです)

 カナダのフィギュアスケート(ペア)の金メダリストである、メーガン・デュハメルさん(32)が五輪のため訪れた韓国で、食用に育てられていた犬・サラを救出したことが明らかになり、世界中のネットに驚きが広がっている。

 韓国では伝統的に犬食文化が根付き、滋養強壮、精力増強、美容に良いと、夏には犬を食べて暑気を払う習慣があるという。近年は動物愛護の見地から表立って食べることは少なくなったものの、年間で消費される食用犬は約100万頭。食肉用の養犬場ではラブラドールからビーグル、雑種犬まで飼育されている。自治体の「五輪中の犬料理提供の自粛するように」という要請にも、平昌郡のほぼ全店舗が拒否したといわれている。

 韓国の状況を心苦しく思った、愛犬家のデュハメルさんは、昨年2月「フィギュア四大陸選手権」で平昌を訪れた際に、食用にドッグファームで育てられたダックスフントのミックス種の“ムータ”を救出。現在、ムータはトロントにあるデュハメルさんの自宅で2歳を迎え、元気に生活している。そして再び平昌五輪のために韓国を訪れたデュハメルさんは、競技を終えて金メダルを獲った後、サラという食用に飼育されていた犬を救出した。さらに動物保護団体を通して、食用犬ファームから、なんと90匹を保護し、里親捜しのサポートをしていく予定だという。

 世界的にも有名な金メダリストの真剣な救援活動に、賛否をふくめた反響の輪は全世界へと広がっている。日本国内でも、SNS上では「ダックスフントを食べるとかどうかしてる」「犬を食べる国とは永遠に分かり合えない」「犬は家畜を守る人間のパートナーで食用ではない」と非難する声と、「韓国とはいえ固有の食文化に口を出すべきではない」「五輪を利用したプロパガンダ」「犬救出の補償金は非公開だけど一説には数十万ドル。養犬業者と愛護団体がグルなのかも」などと賛否の意見が飛び交っていた。

■ヴィーガンvs.犬肉食?アスリートの肉体を作るのは…

 ちなみに、デュハメルさんはヴィーガン(絶対菜食主義者:卵・牛乳・生物由来のゼリーも食べない)でありながら、スーパーアスリートである。豆腐の他、玄米、キヌア、ほうれん草でエネルギーを摂取しているという。そして「現代人の大多数は、たんぱく質を過剰に摂取しています。一般に思われているほど、人間の体はたんぱく質を必要とはしていない」と菜食主義でのエネルギー効率を世界レベルで実践しているとも。

 一方、韓国には元・女子アーチェリー選手でリオ五輪では団体で金メダル、同個人で銅メダルを獲得したキ・ボベ選手のように「犬肉を食べた日には成績が良かった」と(父親が)公言しているアスリートもいる。はたして、どちらがより強い肉体を培うのか。いずれにせよ、並みの選手にはなかなかマネできなそうな食生活である。

文・麻布市兵衛(あざぶ・いちべい)
※1972年大阪府出身。映像作家、劇団座付き作家などを経て取材記者に。著書は『日本の黒幕』、『不祥事を起こした大企業』(宙出版)など多数あり。
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