プロレスラー世界遺産 伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「スタン・ハンセン」善悪の枠を超えた絶対的強者の“不沈艦”

| 週刊実話

 来日した歴代外国人レスラーの中でもトップの人気を誇るスタン・ハンセン。一撃必殺のウエスタン・ラリアットで日本のプロレスファンの心を鷲づかみにし、2000年の引退から18年の時がすぎた今もなお、善悪の壁を超越したヒーローとして記憶されている。
 昨年、テレビ朝日系で放送された『プロレス総選挙』においても、ハンセンは外国人選手でトップとなる10位に選ばれている。

 しかし、日本においては絶大なる人気を誇りながらも、母国アメリカではいま一つだったとの印象も拭えない。キャリア初期からWWF王座に挑戦したり、後年にはAWA王座を獲得したりと、トップクラスの扱いを受けた時期もあったが、結果的に大ブレイクには至らなかったというのが実情であろう。
 「一つには日本が主戦場となり、スケジュール面でアメリカに定着することが難しかったということはあるでしょう。また、アメリカ人からすると、ハンセンに対する違和感もどこかあったようです」

 こう語るのはアメリカのマット事情に詳しいプロレスライター。違和感とはどういうことか。
 「テキサス出身だからカウボーイのキャラクターを選んだというのですが、あの透けるような白い肌や明るい金髪、そして何より“ハンセン”という名前がいかにも北欧系移民のそれで、カウボーイに扮しても感情移入しづらいんですね」

 実際、ハンセンはデンマーク移民の系譜にあり、ハンセンという姓が最もポピュラーなのはノルウェーだが、デンマークでもトップ3に入るといわれる。
 「顔つきもやっぱり北欧風で、南部の荒くれ者のイメージとは異なります。アメリカのファンからするとそんなハンセンのカウボーイ姿は、例えるなら、日本人がハーフタレントの演じる侍を見るような感覚だったのでは?」(同)

 また、ハンセンは「自分がヒール(悪玉)かベビー(善玉)か、さほど意識していなかった」と引退後に語っており、そういうところも善悪の区別がはっきりとした米国マット事情にそぐわなかったようだ。

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