財務省の福田淳一事務次官のセクハラスキャンダルが急展開を見せた。4月18日夜に福田氏は辞任を発表。この場で4月12日発売の『週刊新潮』で報じられていた女性記者に対するセクハラ発言を強く否定してみせたのだが、その数時間後にテレビ朝日がセクハラの被害者は同局の報道局経済部に所属する財政研究会(財務省の記者クラブ)担当記者だと発表したのだ。
ただし、この会見の取材は記者クラブ所属の記者のみに限られた。しかも報道機関とあろうものが、自社報道せず、週刊誌にネタを譲るとは「よほど財務省が怖いらしい」と陰口されても仕方あるまい。
「最近はスポーツ、例えばプロ野球の有力選手には美人の女性記者を胸をはだけた服で張り付けるのは当たり前におこなわれていますし、情報が取りにくい財務省や警視庁なども女性記者が多くいます。今回、相手は財務省ですから、テレ朝や新潮社は厳しい“税務調査”を覚悟していることでしょう」(ベテラン社会部記者)
事実、財務省は国税庁を使って、過去に財務省のスキャンダルや増税反対キャンペーンなどを張った報道機関や記者に対し、厳しい税務調査を行うことで“報復”してきた“前科”がある。
露骨におこなわれた国税局の調査
「最近で最も露骨だったのは、2011年から2012年にかけておこなわれた東京新聞(中日新聞=愛知県名古屋市)に対する調査です。消費増税へひた走ろうとしていた当時の民主党・野田政権に対して、東京新聞は『野田改造内閣が発足 増税前にやるべきこと』などの社説で真っ向から批判を展開したのです。すると、半年以上の長きにわたる異例の調査が入り、約2億8600万円の申告漏れが指摘されました。しかも名古屋国税局と東京国税局がタッグを組んで、中日・東京両新聞本社に同時に入ったのですから尋常ではなかった。徹底的に記者の領収証などを調べ上げたと聞いています」(全国紙元国税担当記者)
財務省は週刊誌にも容赦ない。
「財務省のスキャンダルを記事にした週刊誌の版元である出版社も、ことごとく税務調査で嫌がらせを受けています。それどころか、財務官僚のスキャンダルを署名原稿化したフリーのジャーナリストのなかにも、手掛けた年の確定申告後に“呼び出し”を受けた人が結構います。これは明らかに嫌がらせでしょう」(週刊誌関係者)
現在の財務省には、さすがにこんな蛮勇はないと思うが、はたして…。
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