史上初の米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで開かれる。北朝鮮が人質にしていた韓国系米国人3人は解放されたが、米朝の事前交渉で核廃棄を巡る双方の溝が埋まったのかは、はっきりしない。北の核問題が対話で解決するのか、あるいは軍事的な衝突につながるのか――。会談はその分かれ道となる。
「核廃棄は『リビア方式』より一歩前進した『南アフリカ方式』でやる」
5月4日、ホワイトハウス国家安保会議のポッティンジャー・アジア上級部長は、韓国の文正仁統一外交安保特別補佐官らにこう伝えたという。同部長は北朝鮮から“死に神”と恐れられるボルトン米大統領補佐官の直属の部下であることから、「南ア方式」はトランプ政権の意思と見ていい。
「実は南アは6個のウラン濃縮型核兵器を保有していましたが、米国の要求を飲み、核全廃を断行した唯一の国です。しかもディール(取引)なし。5月9日に北朝鮮を再訪問したポンペオ米国務長官は、核・ミサイルだけでなく、北朝鮮が行った6回にわたる核実験や、寧辺核関連施設に関するデータの廃棄、さらに核開発に携わった最大で数千人ともされる技術者を海外に移住させるよう求めています。もう使えない豊渓里の核実験場を廃棄したところで、データや人員を温存すればいつでも再開できますからね。さらに北側が公式には保有を否定している生物化学兵器などすべての大量破壊兵器の廃棄も求めているし、長距離弾道ミサイルと同等の能力を持つ人工衛星を搭載した宇宙ロケットの発射も認めないと主張するなど、完全な武装解除の要求を伝えたものと思われます。しかも国内の人権問題や拉致問題の解決まで、最大限の圧力を続ける姿勢を崩していません。これに対して北側は、データの廃棄には曖昧な態度を取る一方、技術者の移住には難色を示しているようです」(北朝鮮ウオッチャー)
南ア方式は「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」(CVID)を実施した後、制裁解除、経済支援を実施するというリビア方式とは異なり、CVID後のディールはなく、すべて自主的に廃棄を行わなければならない。この要求に対して正恩委員長は二度にわたり、中国の習近平国家主席と会談し、非核化について「段階的、同時進行」で実施し「行動対行動」の原則を確認し合った。この相違が米朝間に横たわる溝だ。
トランプ大統領が金正恩委員長に突きつける完全武装解除
2018.05.18 16:00
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