東アジアからは遠いヨーロッパのフランスで、中国による農地の高値買いが問題になっている。中国企業が地価の安さと地方の困窮に乗じて農地買収を進めており、これを受けてフランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月22日に海外投資家による農場買収の阻止に乗り出した。
「日本でも新潟県や北海道南部の苫小牧市や釧路市で中国人による土地買収が進んでいますが、政府はただ手をこまねいているだけです。しかし、マクロン大統領は、パリの大統領府を訪れた若い農業従事者らを前に『中国による農地買収は、わが国の主権を脅かす戦略的な投資だと考えている。よって購入の目的も把握しないまま、何百ヘクタールもの土地が外資によって買い上げられるのを許すわけにはいかない』と述べたのです。大統領の念頭にあるのは、中国ファンドが2017年にフランス中部の穀物産地アリエ県で900ヘクタールの土地を購入したこと、さらに2016年にアンドル県で1700ヘクタールもの農地が買収されたことを問題視しての発言です」(在仏日本人ジャーナリスト)
海外資本の農地買収を巡っては、オーストラリアが今年2月に新たな規制を発表し、中国資本の海外進出については、これまでアフリカやカナダ、そして中国の脅威に対して無関心のEU各国からも懸念する声が上がっている。
中国の土地買収に対して意見が二分化
「発端はドイツで開催された安全保障会議(MSC)でのジグマール・ガブリエル独外相の演説でした。中国の習近平国家主席が推進する『一帯一路』政策を『民主主義、自由の精神とは一致しない』と批判したのです。MSCに出席していた中国共産党幹部は顔をしかめていました」(同・ジャーナリスト)
ついには、ドイツの経済紙ハンデルスブラット(4月17日付)に『EU大使、中国の一帯一路構想に結束して反対』という記事が掲載された。
「EU加盟の28カ国中、27カ国の駐北京大使が一帯一路を『自由貿易を打撃し、中国企業の利益を最優先している』と批判する内容の報告書を作成したことをハンデルスブラットが取り上げたのです。ただし欧州では中国の覇権攻勢について『批判的、懐疑的なグループ』と『積極的な支持グループ』に分かれ二分されているのが現状です」(国際ジャーナリスト)
驕れるもの久からずというが…。
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