先ごろ亡くなった名脇役・名和宏を偲ぶ映画『色情大名』

| まいじつ
先ごろ亡くなった名脇役・名和宏を偲ぶ映画『色情大名』

作品目『徳川セックス禁止令 色情大名』

東映/1972年
監督/鈴木則文
出演/サンドラ・ジュリアン、名和宏、三原葉子、山城新伍ほか

東映やくざ映画などで活躍した俳優の名和宏(なわ・ひろし、本名/与縄章=よなわ・あきら)さんが6月26日、急性肝不全のため都内の病院で死去、享年85歳、熊本県出身、と新聞報道されていた。

中高年世代なら、『仁義なき戦い』シリーズの親分役やテレビ『水戸黄門』の憎々しい悪代官などが記憶にあるだろう。

ボクも『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973年)で、山中正治(北大路欣也)を殺人マシーンに仕上げるため、最初は値打ちをつけて時計をプレゼントしたりして手なずける狡猾な組長・村岡役が印象に残っているが、それだけじゃ語り尽くしていない。名和さんの経歴を語るなら、やはり“東映刺激路線”。当時人気の世界的セクシー美人女優とムフフなくんずほぐれつを熱演した羨ましい“性豪”俳優の一面もあったのだ!

本番さながらのホットなシーン

ご本人が「ヤクザものばかりなのもねえ」と喜々として演じているところが何より。ボクも当時、ヤクザ映画と併用して、この手の作品も何本も観て、“名和宏”を目に焼き付けたものだ。その中の代表作の1本がコレ。監督の鈴木則文は後に『トラック野郎』(1975年)などで知られるが、当時はエロスとバイオレンス上等、何でも来い、のアナーキーな監督だった。

長年の女嫌いが災いして初夜のとき、姫の機嫌を損ねた藩主・小倉忠輝(名和宏)に対し、重臣たちは藩主を女好きにするため、美貌のフレンチ娘サンドラ(サンドラ・ジュリアン)を献上。サンドラの超美貌と極上のセックス奥義に、生まれて初めて快楽を味わった藩主は性にのめりこみ、こんなイイコトを庶民に許するのは何事か、と前代未聞の『閨房禁止令』を発布してしまう…。

まあ奇想天外なエロス時代劇大作(当時のGW作品で製作費がかかっている)なのだが、見どころは、やはり名和さんの濡れ場。相手役のサンドラ・ジュリアンは『色情日記』(1970年)などで当時の日本でも人気のあったフレンチ女優。ボクも“お世話”になりました。

そんな美女相手の名和さんが羨ましい。サンドラは肌が抜けるように白く、あまりの全裸の美しさに、いわゆる前貼りは野暮(当時は前貼りが当たり前だった)と現場で決まったそうな。もちろん、彼女もウイ。本番さながらのホットなシーンが撮れたそうな。名和さんはすっかり彼女に気に入られ、「ムッシュ名和、トレビアン!」と毎日のように食事に行ったそうな。本当は彼女も“食った”んじゃないの? とゲスな勘ぐりを入れながら、故人を映像で偲びたい。

(映画評論家・秋本鉄次)

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