双子としちゃう「背徳と官能」の心理サスペンス『2重螺旋の恋人』

| まいじつ
双子としちゃう「背徳と官能」の心理サスペンス『2重螺旋の恋人』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『2重螺旋の恋人』

配給/キノフィルムズ 8月4日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開
監督/フランソワ・オゾン
出演/マリーヌ・ヴァクト、ジェレミー・レニエほか

フランスを代表する映画監督フランソワ・オゾンによる背徳と官能の心理サスペンス。名門女子高校生でありながら売春に手を染めるヒロインを描いた、いわば“援交”映画『17歳』(2013年)以来、同監督の秘蔵っ子となった感のあるマリーヌ・ヴァクトが実にエロチックで、この映画最大の“売り”となった。

原因不明の腹痛で悩むクロエ(マリーヌ・ヴァクト)は、精神科医ポール(ジェレミー・レニエ)のもとを訪ねる。適切な処置で痛みから解放された彼女は、自ら積極的に彼を誘惑し、同居を始める。だが、ある日、彼女は街でポールそっくりのルイ(レニエ2役)というこれまた精神科医と出会う。そのポールとは双子だというのだが…。性格も性癖も正反対の精神科医の双子の秘密を探ろうとルイの診察室を訪れ、やがて深い関係に…。

往年のハリウッド美人女優が存在感を発揮

お下品な形容で言えば“兄弟丼”をしちゃう奔放な美女の“素人探偵”のような話で、ヒッチコックの『めまい』(1958年)を男女逆バージョンにした感じが伝わる演出が“らせん階段”にも表れている。

それにしても、ヴァクト嬢は何とエロチックなのだろうか、彫りの深い濃いルックスにショートカットが似合いまくり。スレンダーなボディーだが、フランス女優共通の“脱ぎっぷり”の良さにほれぼれとする。隠す気、全然ナシの痩身の乳房が眩しい。彼女は花でたとえるなら緋牡丹かな? だって“緋牡丹ヴァクト(博徒)”っていうでしょうがに…冷笑。ダサいと思いながらもつい口走ってしまうオヤジギャグ、オッサンの哀しいサガでしょうか。失礼しやした。

もう1人、注目女優が出ている。この双子の精神科医の過去に関わる重要な役どころを、往年のハリウッド美人女優ジャクリーン・ビセットが演じている。スティーブ・マックイーンの恋人役で出た『ブリット』(1968年)を十代のころ観て、世の中にはこんな美人がいるのか、と思ったものだ。今年74歳で、さすがに加齢は隠せないが、まだまだ貫禄と存在感は十分である。

女性に思い入れがあるように見せかけて、実は冷徹に突き放すような描き方は、いかにも女性に意地悪なオゾン監督らしい。“オゾン(OZONE)”というといかにも健康に良さそうな響きだが、オゾン(OZON)監督は実に不健康なテーマばかりなのが、名は体を表さないね(?)、と冗談でも飛ばしながら、このエロチック心理サスペンスを楽しむべし。熱すぎる夏に、冷や汗必至のはずだ。

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