止まらない「あおり運転」加害者への怒り。遂に殺人罪が適用!

| まいじつ
(C)Ilya Kirillov / Shutterstock

身内に甘い警察の体質がまたまた露呈した。

長崎県警の50代の男性警視が女性の運転する車にあおり運転をし、軽傷を負わせたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで今年1月に書類送検されていたのだが、8月10日付で不起訴処分になった。

県警は書類送検したことや内部処分の有無を発表していない理由を、「任意捜査だったため必要がないと判断した」と不可解な釈明をしている。

そんな折、オートバイの大学生にあおり運転をした末、乗用車に接触させて死亡させたとして、大阪の警備員、中村精寛被告(40)が殺人罪で起訴された。テレビでも報道されたように、追突した後「はい、終わり」と満足したような音声がドライブレコーダーに残っていたあの事件だ。

中村被告はバイクに追い抜かれた直後に急加速し、約1キロにわたりクラクションを鳴らしたり、パッシングしたりするあおり運転を継続させ、追突時の速度は時速100キロ前後で、基準値以下ながら呼気からアルコールが検出されたという。悪質極まりないとはまさにこのことだ。

ただ、これまでもあおり運転が原因で相手を死に至らしめたケースは多々あった。今回は何が殺人罪を適用させたのか。

自身のドライブレコーダーが決め手となる皮肉

「実は『殺人罪』に問うためには、捜査当局は方法を問わず“殺す”意思があったことを立証しなければなりません。この目には見えない人間の心を具体的にひもとくのは、とても難易度が高いのです。それで『危険運転致死傷罪』(負傷させた場合15年以下の懲役、死亡させた場合1年以上20年以下の懲役)にとどめられてきたのです」(交通事故に詳しいジャーナリスト)

この事件での特異性は2つある。大阪府警交通捜査課が7月2日、中村被告を自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で現行犯逮捕したものの、翌3日に容疑を殺人と道路交通法違反(ひき逃げ)に切り替えて再逮捕に踏み切った。通常、殺人罪は捜査1課の担当だ。

第2にドライブレコーダーが逮捕・起訴の決め手となったことだ。一般的にドラレコは事故に巻き込まれた場合、相手が自分に有利なようにウソの証言をしたときに備え、証拠として残しておくためのものだ。が、今回の事件では、そのドラレコに自分の悪質な運転や発言が証拠としてバッチリ記録されていた。残っていた発言は「しまった。やっちまった」ではなく、明確な「やってやったぜ」というイントネーションだったという。

悪質ドライバーは徹底的に駆逐すべき社会のガンだ。しかし、警視までがやっていたとなると、その病巣は相当に根深い。

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