「脱税女優」ファン・ビンビン主演映画『大爆撃』が公開中止のワケ

| まいじつ
(C)Denis Makarenko / Shutterstock

范冰冰(ファン・ビンビン)主演の映画『大爆撃』が、中国で予定していた10月26日の公開を前に上映中止になった。

『大爆撃』は1938年2月から41年12月にかけて、日本軍が中国・重慶に対して行った6年11カ月にわたる72回(中国側の発表では44年まで218回)に及ぶ無差別爆撃の中で、重慶市民が死と向き合い、明るさを保ちつつ粘り強く抵抗した姿や、若い中国の飛行兵らが命を懸けて日本軍と戦い国を守ったという物語だが、日本の視点からすると、その内容は偽りだらけの「反日プロパガンダ」映画だ。

「日本を一方的に悪とする政治宣伝の映画であり、製作した中国映画界も政府の支援があったからこそ制作したものです。ですからファン・ビンビン主演だから中止したとか、脱税者が主演しているから倫理上まずいというまっとうな判断ではなく、安倍首相が訪中するため、反日映画の上映はやめよという政治的判断だったと思います」(在中国日本人ジャーナリスト)

やむなく行われた市街地への攻撃

重慶爆撃は、一般住民の住宅地まで爆撃した無差別爆撃の始まりで、死者は住民中心に1万2000人以上といわれるが、中国の言わんとするところは、原爆投下や東京大空襲などの非人道的な無差別爆撃をもたらしきっかけになったという点にある。

つまり、原爆投下という惨劇は、日本が先に重慶で行ったから自業自得だと言わんばかりの論調につながっているわけだ。

確かに重慶爆撃は一般住民に甚大な被害が出たのだから戦時国際法違反であり、非人道的と言われてもやむを得ない。だが、米国の東京大空襲や原爆投下とは大きな違いがある。

「重慶に陣取った当時の蒋介石・国民党軍(現在の中国共産党政府とは違う)は、米国製の多数の対空砲台をわざわざ飛行場や軍事施設から市街地に移動させており、日本軍はやむなく市街地の絨毯爆撃を決定したというのが爆撃の要点です。蒋介石軍は一般住民が巻き添えになることが明白なのに、あえて市街地に軍事施設を置いていた。このこと自体がすでに国際法違反なのです」(軍事ジャーナリスト)

ちなみに東京裁判でも「重慶爆撃」は非人道的行為として取り上げられていない。

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