老舗洋菓子店の倒産で表面化 厳しいスイーツ業界の未来

| 週刊実話

 神戸などを中心に洋菓子店「モンブランKOBE」を展開し、「至高のモンブラン」や「お・も・て・な・し半熟チーズ」といったスイーツ販売で人気を博していた洋菓子製造販売会社「モンブラン」が約3億2800万円の負債を抱え事業停止に追い込まれた。10月22日に自己破産の準備に入ったという。

 「モンブランは1963年に創業し、今年で56年続いた老舗の洋菓子製造販売会社です。神戸市を中心に20店舗近く展開し、首都圏でも人気を集めていました。今回の破産の要因は、業界内の競争激化と原材料価格の高騰です。ピーク時(2015年6月期)に約6億6500万円だった売上高は、今年6月期には約5億2100万円に落ち込みました。そしてとうとうギブアップしたのです」(全国紙経済部担当記者)

 メディアでは頻繁に特集が組まれ、若者にも支持を得ていたスイーツ。今回の件で老舗が倒産するほど業界が苦境に立たされていることが表面化した。一体、スイーツ業界に何が起きているのか。

 まず、これまで日本のスイーツ業界の全盛期を振り返ってみたい。
「日本国内のスイーツ人気はバブル景気とともに高まりました。2000年前後には『料理の鉄人』を筆頭に、テレビでグルメ番組が多く放送され、パティシエにも注目が集まりました。洋菓子界の礎を築いた人物として有名なフランス菓子職人の河田勝彦氏や辻口博啓氏など、日本人パティシェがジャパニーズスイーツの道を切り開き、次々と世界的賞を獲得し、消費者を熱狂させたのです。ティラミスやマカロンなど、次々に出るスイーツやオリジナルスイーツが創作され、話題となり、スイーツ人気を盛り上げたのです」(洋菓子店経営者)

 こうした人気を背景に、冒頭の「モンブラン」も急激に売り上げを伸ばした。

 だが、スイーツ専門店に陰りが生じはじめたのは2008年に起こったリーマンショック以降だ。

 単純に景気が落ち込み、苦戦しているように感じるが、理由はそれだけではない。「スイーツを取り巻く環境が変化した」と業界関係者は指摘する。

 「昔はクリスマスや誕生日など、家族での祝いごとに欠かせなかったスイーツは、それが簡素化され、必須ではなくなりました。さらに盛んだった中元・歳暮のやり取りも減少しています。

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