もはや“ニセモノ”の域を超えた驚きの中国『コピー文化』とは

| まいじつ
(C)zoommachine / Shutterstock

中国で、草間彌生氏の作品と称して贋作を展示する展覧会が、各地で開催されるという事件があった。展覧会は主催者に中止を申し入れたことからすでに中止されているが、これ以前にも中国各地で同様の展覧会が無断で開催されていた模様で、さらに現在調査中のものもあるという。

さらに『無印良品』が商標問題でニセの無印良品から中国において権利侵害で訴えられ、本物であるにもかかわらず、裁判で敗訴するという残念なニュースが報道されたばかりだ。

ニセモノ、パクリという印象が拭えないそんな中国で、ゴッホの名画の複製画だけを描く油絵村が存在するという。ドキュメンタリー中国映画『世界で一番ゴッホを描いた男』には、そのような“メイド・イン・チャイナ”の実態と「画工」(映画の中での呼称)と呼ばれるコピー画だけを描き続ける男が描かれている。

「画工」とは「画家」とは異なり、コピー画のみを手掛ける絵描きのことを指すという。中国南部の大都市、広東省深セン市には、1万人もの画工が住む大芬(ダーフェン)村がある。1989年に香港の画商が20人の画工を連れてやってきたのがこの村の始まりで、次第に人数が増えていった。

天国のゴッホも複雑な心境?

2004年に政府の助成を受けてコピー画施設が作られ、観光客や絵画を学ぶ人もこの村を訪れるようになった。今では年間、数百万点もの油絵がここで生み出され、世界中に「中国産のゴッホの名画」が売られていくという一大コピー画生産拠点になっている。

「複製画」と銘打っているため、いわゆる「パクリ製造拠点」とは異なるところがミソだ。

「村には公募展で入選し、晴れて、画工ではなく、画家として認められた人々も300人ほどいて、07年に建てられた大芬美術館には、オリジナル作品を制作する画家の作品も展示されています。しかしほとんどの画工は農村出身だから都市市民にはなれず、子供は深セン市内の学校にすら入学できないという二重の差別を受けているのです」(在日中国人ジャーナリスト)

画工が成り立つのはコピー画に需要があるからだ。主な販売先は、ゴッホ生誕の地であり、ゴッホ美術館があるオランダだ。ゴッホ美術館の近くにある土産物店には、たくさんのゴッホ作品の複製品が並んでいて、世界中からやって来る観光客に飛ぶように売れていくという。そのため複製画は、描いても描いても大きな需要がある。しかも卸値の8倍という高価格で販売されているのだから笑いが止まらない。

いやはや中国は広く、そしてディープである。

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