トップリーグ3連覇に「必要」な伏兵。サントリーのアルコックが好守連発

| ラグビーリパブリック

 2点リードで迎えた後半ロスタイムの防御シーン。タフガイの真価が問われるところだ。クリス・アルコックは、心に誓う。

「自分たちのストラクチャーを守り、ばかげたことをしない。やることをやれれば、相手を止められる」

 折しも敵陣深い位置での味方のハイタックルにより、相手に自陣10メートルエリア右のラインアウトを与えていた。もっとも国内トップリーグ2連覇中のチャンピオンチームは、黄色い壁を崩さない。今季好調のクボタを迎え、倒れてもすぐに立ち上がる。

 特にひるまなかったのがアルコックだ。サントリーの先発オープンサイドFLとして好守連発の30歳は、疲労のたまるクライマックスの局面でも足を止めない。後半の猛追撃をけん引したインサイドCTBの立川理道を、粘り腰で押し返す。突っ込んでくるランナーを待ち構え、味方と一緒に担ぎ上げる。相手ボールが出たら、すぐに次の防御ラインに加わる。

 最後は向こうがこらえきれずボールをこぼし、28-26のスコアでノーサイド。サントリーが勝った。会場の東京・秩父宮ラグビー場では、公式で「11,770人」の観客が各々の感情をあらわにしていた。

 ちなみに前半のスコアは25-7とサントリーが大差をつけていて、前後半の反則数はサントリーの「3」「10」に対してクボタは「5」「2」(いずれもフリーキックを含む)。勝った沢木敬介監督が「逆に皆さんに質問したいのですが、どうですか」と苦笑するなか、殊勲のアルコックはただ目じりを下げる。安どの顔つきだ。

「(勝つ)チャンスを待ちながら、しっかり守れたと思います」

 南アフリカのダーバンに生まれ、両親の仕事の都合により10歳でオーストラリアのシドニーへ移住する。2010年以降はワラターズ、フォース、ブランビーズとオーストラリア拠点のクラブに入り、国際リーグのスーパーラグビーへチャレンジ。初来日の2017年は釜石でもプレーした。

「違うチームでプレーできる機会があるのは自分にとって嬉しい。さまざまなスタイルを学べますし、その時々で新たなスキルも覚えられます。

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