出生届で反映され、死亡で除籍し、相続に使用されて幕を下ろす戸籍謄本

| 心に残る家族葬
出生届で反映され、死亡で除籍し、相続に使用されて幕を下ろす戸籍謄本

子供の頃「こせきとうほん」という言葉を聞いて「とうほん、それ何?」って思ったものだ。未だに「とうほん」と「しょうほん」が区別できない。生きていると戸籍との付き合いは避けて通れないものだが、ありがたい事に謄本や抄本が判らなくても市役所窓口で尋ねれば何とかなるようになっている。出産から結婚、死亡、養子、離婚、何かと戸籍にはお世話になるようだ。

■年寄りが死ぬと厄介な後始末

厄介なんていうと罰が当たりそうだが、人が亡くなった瞬間から戸籍がらみのドタバタが始まる。死亡届!火葬許可!世帯主の変更?年金や健康保険の届け!それぞれが故人が亡くなってから2週間以内に手続きが必要になる。(死亡届は1週間以内)

故人の死を悼み喪に服すなんて流暢なことをいってられないのが家族の現実だろう。そもそもどこで葬儀をするかを決めないとならない。セレモニーホールで葬儀を行うにしても、予約?していないから運が悪ければ満室で当分葬儀ができぬこともある。火葬場もこちらの都合のよい時間で取れるとは限らない。何せ高齢者が旅立ちの順番を待っているような時代だ。早いもの順ということだ。

ようやく決まった会場の担当者との打ち合わせは、上の空。あちらは経験豊富だから滅多なことはあるまい。

■戸籍が増えるとは面妖な

多額の保険金や財産を受け取れる相続人なら葬儀も楽しい。なんてこといっては不謹慎だが、悲しみ半分喜び半分ってことがないでもない。もちろん、対外的には悲しみにくれる遺族を演じる必要はある。うなだれた外見とは裏腹に内心いろいろと皮算用をする。そんな人がどれほどいるかは知らぬが、身内で争いなどせぬのが故人への供養だろう。

故人の銀行口座などは死亡することによって閉鎖される。銀行はどこから死亡情報を入手するのか疑問はあるが、故人の戸籍情報全てが出揃わないと相続人として認定されず口座の解約もままならない。故人の戸籍が簡単に手に入ればどうってことがないのだが。故人の年齢如何で戸籍の数が増えるそうだ。平成昭和でそれぞれ一回ずつ戸籍法が改正されていて、法律が改正される都度それ以前と以後で名称や戸籍の書式が異なっているそうだ。他の理由も相まって、爺ちゃん婆ちゃんの世代の戸籍を揃えるのは一筋縄ではいかぬこともあるそうだ。せいぜい市役所の窓口を頼りにせねばならぬのだろう。

■戸籍で知る人生

取り寄せるのは、現戸籍や原戸籍など。右を呼んでも左を読んでも「げんこせき」。法律改正前の戸籍が原戸籍(通称はらこせき)で親の一身上の秘密を発見することもあるようだ。母親が再婚だったとか、ご先祖の歴史の一端を古い戸籍から知ることができるかもしれぬ。戸籍は意外と奥が深い。出生届けで始まった人生は、死亡で除籍され、相続に謄本が使われて幕を下ろす。

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