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ところが冷えきった日ロ関係に楔を打ち込んだのが、12年に誕生した第2次安倍政権だった。
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12年3月、プーチンさんは、大統領選の4日前に世界の主要メディアを集めて北方領土問題について言及したのです。
「外交はお互い負けのない『引き分け』がいい」
「自分が大統領になったら、日本とロシアの外務省を同時に位置につかせて、『始め』と号令をかけよう」
これには、日本政府も真意を測りかねる部分があったと思います。13年2月、森元総理が、安倍総理の特使として訪ロ。発言の趣旨を確認したそうです。するとプーチン大統領は、白い紙に柔道の試合場を描いてこう言ったそうです。
「日本とロシアは今、北方領土問題に関して場外すれすれで組み合っている。これではすぐに両者が場外に出て注意が入る。危ない状態だ。だから、試合場の真ん中で組み合うんだ」
何を意味するか。「国後、択捉はお互い英知を出しましょう」。いわゆる2島の返還プラスアルファなのです。
ロシアでは国民の9割が北方領土を「戦後、国際的諸手続きを踏んで歯舞群島、色丹島を得た正当な領土だ。1島も還す必要はない」と考えています。そんな中、プーチン大統領は56年宣言の有効性を認めているのです。これは日本との関係性を重視している何よりの証拠ですよ。
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安倍総理は11月30日から12月1日にかけて、アルゼンチンでのG20サミットに出席。同地でプーチン大統領との首脳会談も行われた。
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先のシンガポールとこのアルゼンチン、そして年明けに予定される訪ロ、6月G20の大阪サミットが正念場です。安倍総理とプーチン大統領はここまでに平和条約をまとめるくらいのスピード感でやっていただけるものだと、私は確信しております。
私は日ロ首脳会談直後の11月17日、根室に飛んで北方領土の元島民代表の方々から話を伺いました。元島民の方々からは今回の会談について、「安倍総理の言うように交渉を加速してほしい」「今回は期待ができる、ぜひ実現してほしい」と、歓迎する意見が相次ぎました。