NTTコムの「もう一人の石井」。大一番で殊勲のトライ決めたWTB石井勇輝。

| ラグビーリパブリック

 NTTコミュニケーションズのウイング石井――。そう聞いて、多くのファンが想像するのは、2018年はサンウルブズや日本代表にも参加したWTB石井魁だろう。

 しかしNTTコムには要注目の「ウイング石井」がもう一人いる。

 12月15日、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場でおこなわれたトップリーグ5・6位決定戦(リーグ総合順位トーナメント3回戦)。パナソニック×NTTコム。

 逆転を懸けたパナソニックのPGがHポールに弾かれ決着するという、劇的な結末により、NTTコムが43-41でパナソニックに競り勝った。NTTコムのパナソニック戦勝利は2012年以来6シーズンぶり。最終順位はNTTコムが5位、パナソニックは6位となった。

 この大事な一戦で、後半37分に殊勲の同点トライを決めたのが、今季東洋大から新加入したルーキーのWTB石井勇輝だ。スクラムからのサインプレーで、パワフルな加速と突進力を見せ、ゴール下に飛び込んだ。

「最後の最後にチャンスが回ってきて、『絶対決めなきゃな』と思っていました。そうしたら周りのおかげでトライを取れたという感じですね。“必殺サイン”みたいな感じです」

 身長184センチ、体重95キロの大型WTBは、神奈川県出身の22歳。

 スポーツは小学3年から野球を始め、中学時代は全国大会優勝経験もある「世田谷西リトルシニア」でプレー。しかし肘や膝のケガで、野球は断念。東京・日体大荏原で楕円球に出会った。

 当時の部員数は約30人。高校3年時にはバックスのバイスキャプテンを務めたが、積極的な理由ではなかった。

「バイスをやるような性格じゃなかったんですけど、なにせ人数がいないので。同期は8人で、そのうちバックスは2人でした。そのうちの一人は途中からラグビーを始めた部員だったので、自分がやるしかなかったんです」

 帰り道に駄菓子屋に寄ることが楽しみだった、のんびりとしたラグビー部生活。

 しかし大学は一転、全国から選手が集う関東大学リーグ戦2部の東洋大へ。

バックスやフォワードを行き来しながら、持ち前の強さに磨きをかけ、トップリーグ入りを掴んだ。

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