2018年を振り返って:ロマン優光連載125

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2018年を振り返って:ロマン優光連載125

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第125回 2018年を振り返って

 2018年。つらかったことと言えば、『日本国記』(百田尚樹)『AKB48と日本のロック』(田中雄二)という、やたらページ数が多い上に内容に支離滅裂な箇所が多い本を仕事のために読まなければいけなかったことですね。
 前者が固定層に対するお金儲けのために適当な工程を経て作られた疑いが濃い似非愛国本。後者が著者の情熱の赴くままに、ささいな事実から無理矢理に導きだされた飛躍した論理と著者の妄想が目立つ上に、やたらと事実誤認が目立つ本。方向性や売り上げは全く違いますが、読んでる最中に感じるストレスの強さに関しては互角の力を感じました。つらかった……。

 それはさておき、何かについて書くとき、それが作品やライブについてのレポートやレビューではなく、演者や作者本人についての文章だと尚更なんですが、どこまで踏み込んで書くべきかということは非常に悩ましい問題です。特にアイドルについて書こうとする時に非常に悩みます。
 これは悪いことでも良いことでも同じです。どちらかというと、良いことを書こうとした時にこそ気を付けなければならない問題なのかもしれません。特定のアイドルに悪い評をつけたり、悪い感想をわざわざ書いたりは別にしなけりゃいいというだけの話ですしね。
 何かについて評論めいたことをするということは、対象についてわかりやすく他者に伝えるということでもあります。この、わかりやすくというのが曲者なんです。
 その分析が一面の真実を捉えているというのは大前提になると思います。褒めていれば何でもいいというわけではありません。間違った分析で評価されても、それは本当ではないわけですから、注目する人が増えたところで、そういう捻れは本人に負荷を与えるだけの結果になりかねません。そこは当たり前の話ですよね。
 そして、内容があってたとしても問題が無いわけではありません。踏み込みすぎて、変にわかりやすく他人に語ってしまうことには危険が付きまといます。わかりやすいということは基本的には良いことと考えられています。

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