「張・本人」それとも「張本・人」?「張本人」ってどこで区切ればいいの?

| Japaaan
「張・本人」それとも「張本・人」?「張本人」ってどこで区切ればいいの?

何かの悪だくみや事件が発覚したとき、その首謀者のことを「張本人」なんていったりしますね。また、「今の政治をだめにした張本人は、〇〇だ」というように、悪だくみや事件以外の場面でも使われるこの言葉ですが、案外とこの言葉について知っていることは少ないのではないでしょうか。

まず、この「張本人」という言葉、「本人」という言葉に「張」という言葉が付いたと思っている読者も多いと思いますが、さに非ず。実はこの言葉、「張本」という言葉が元になっている言葉です。

「張本」の「張」とは、弓や琴などの弦をゆるみなく引き締めることで、そこから「張り巡らす」や「催す」といった意味合いも持つようになりました。また、「本」は根本のこと。つまり、「張本」で、ものごとを根本から張り巡らせる、つまり「物事を周到に準備すること」や「伏線を張ること」の意味を持つとされています。

それがやがて、特に悪事に対して用いるようになり、悪事を引き起こした原因、悪事の元を「張本」というようになり、そこに「人」をつけて悪事の原因を引き起こした人物本人を指すようになったわけですね。

ちなみにお隣の中国では、同様の意味を指す言葉として「罪魁(zuìkuí)」「主谋(zhǔmóu)」「祸首(huòshǒu)」という言葉が使われており、完全に日本語独特の言い回しであることがわかります。

この「張本人」という言葉が使われ始めたのは、ちょうど室町時代にまで遡るといいます。

室町時代といえば、正長の土一揆の発生などにみられるように、百姓一揆や政争などの謀(はかりごと)が為政者の頭を悩ましていた時期。「張本人」という言葉は、そんな時代背景のなかで誕生した言葉なのかもしれませんね。

ちなみに、英語では、「張本人」のことを”Mastermind ””Ringleader”などというそうですよ。

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