外国人労働者受け入れは_人数の事前明示が必要
――少子高齢化社会により、将来、日本が危機を迎えると言われていますが、髙橋さんはこれを完全否定していますね。どのような根拠があるのでしょうか?
髙橋 危機というのは予測が難しく、その対処ができない場合をいうべきだと思います。人口問題はそれには当たりません。まず、人口が減少すると、1人あたりのGDPは増加します。具体的には人口が1%減少すると、1人当たり0.3%上昇するんです。反対に人口の急増は対処も難しく、GDPも減少してしまいます。人口減少はその逆なので対処は容易と言えるでしょう。次に、人口減少は予測しやすく、また、ゆっくり実現します。実際、日本の人口は2002年の推計通りに減少しています。まだまだ対応に時間の余裕があるのです。こうした容易に対応可能なものを“危機”というのは知的怠慢と言えるでしょう。
――外国人労働者の受け入れについてはどうお考えですか?
髙橋 一定の外国人は日本社会に必要ですが、その受け入れはしっかり管理しなくてはいけません。外国人の受け入れが多すぎて日本人の賃金が上昇しないと社会不安が起こってしまいます。そのいい教訓は、ドイツなどの欧州にいくらでもあるんです。世界の標準的な受け入れ体制は、受け入れ数を事前に政府が示して、国民の理解を得ながら行うことですから、日本も受け入れ数を示すべきでしょうね。できれば業種ごとに一定期間の受け入れ総数を示したほうがいいです。その上で、入出国管理を適正に行う必要があるんです。
今回の入管法改正はあまりに拙速でした。今後の運用においては、受け入れ数の事前明示などを適切に行い、国民の理解を得て入管法を適正に行う必要があるでしょうね。
――人生100年時代と言われています。中高年サラリーマンは定年後に向けて、今からどのような準備をしたらいいでしょうか?
髙橋 いつクビになっても食っていけるように“手に職”をつけることですね。会社内のスキルや人間関係はクビになると意味がないので、会社外でも通用する実力をつけておくべきです。そういう意味では、副業禁止が解禁されるのは都合がいい。自分の副業スキルが会社以外でどれだけ社会から評価されるかを確認できますからね。
今いる会社内での「会社価値」しかない人は、自分の「市場価値」を早く認識して、それを高めるよう努力しましょう。市場価値の高い人は、定年後でも他で活躍できますから、心配することはないのです。
(聞き手/程原ケン)
髙橋洋一(たかはし・よういち)
嘉悦大学教授。1956年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科、経済学部経済学科卒業。1980年に大蔵省(元・財務省)入省。第一次安倍内閣では経済政策のブレーンとして活躍。
【話題の1冊】著者インタビュー 髙橋洋一 未来年表人口減少危機論のウソ 扶桑社 800円(本体価格)
2019.02.07 15:30
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