燻煙式殺虫剤の罠を回避するゴキブリ。だがその煙は他の生物に危険性(アメリカ)

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燻煙式殺虫剤の罠を回避するゴキブリ。だがその煙は他の生物に危険性(アメリカ)


 チャバネゴキブリの生命力は都市伝説でもなんでもない。環境に応じて適応進化を続けており、人類絶滅後、地球上を支配する生物の1種として名が挙がっているほどだ。

 基本的にはなんでも食べる雑食性で、どこへでも身を潜めることができ、年間400匹もの子孫をつくる。

 そして彼らは家を閉め切って使用する燻煙式殺虫剤で駆除しようとしても、その罠すら回避する能力を身に着けたのだ。

 最新の研究によると、アメリカで使用されている燻煙式殺虫剤はチャバネゴキブリを抹殺するのに効果がないばかりか、その家に住むほかの生物に危険を及ぼす可能性があるという。そこには人間も含まれるのだ。

・ゴキブリに対する燻煙式殺虫剤の効果を検証

 アメリカ・ノースカロライナ大学の昆虫学者ザカリー・ドヴリーズ博士はこんな研究を行った。

 ゴキブリが出没していることが確認されている30軒の家庭を募り、そのうち10軒に毒餌の罠を仕掛ける。残りの20軒には、空気中に殺虫剤の煙や霧を充満させてゴキブリの神経系統にダメージを与える燻煙式殺虫剤を使った。

 それぞれの効果を評価するために、あらかじめ捕獲しておいたゴキブリを殺虫剤の近くにさらして、もっとも影響を受けるようにした。

 1ヶ月の間に、毒餌を仕掛けた家の3分の2以上で、ゴキブリの数は減少したが、燻煙式殺虫剤を使った家はそれほどゴキブリの数は減少しなかった。逆にむしろ増えた家もあったという。




・ゴキブリの殺虫剤を回避する能力

 チャバネゴキブリは、毒性に強い体質をもっている。たとえゴキブリ自身に燻煙式殺虫剤が届いても、必ずしも毒が効くという保証はない。

 それに、ゴキブリが潜んでいると思われる場所に隅々まで殺虫剤がくまなく広がるわけではないため、完璧な駆除は難しいことがわかる。
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