現代、医療技術は急速に発達しているが、医療が飛躍的に進歩したのは遅く見積もっても19世紀から20世紀初頭のこと。昔は病気にかかることはすなわち「死」を意味していた。
もちろん古代の人間も病をただ恐れていたのではなく、さまざまな経験や調査の積み重ねで薬や治療法を開発していったのだが、やはり現代の知識から見ると誤った方法や、民間療法にとどまることが大半であった。とはいえ、それでも回復することができれば文句はなかったわけだが。
当時流行していた病気や疾患は、当時の文献や遺体などを調べればある程度予想することができる。だが、中には現在でも正体不明の病気が流行していたことを物語る資料も存在している。
応永14(1407)年、足利義満が小松天皇におうかがいを立て、医王院という医療施設を造った。この医王院は、当時下総国で流行していた奇病「赤目病」を治療し、鎮めるべく建てられたものだったという。この赤目病の症状は、目が赤くなり、目ヤニが多く出て、目の下のクマがひどくなりやがて最後は死に至るという奇病であった。この病気の歴史は長く、昭和20年代に患者が亡くなったのを最後に病気は根絶に至ったという。つまり、つい最近まで「死病」に近かった病気だったのだ。なお、同院では昭和20年代まで名水と目薬を参拝者に分けていたという。しかし、薬機法の関係もあって今は販売していない。
この病気に関して、現在では目の充血を伴う細菌、もしくはウィルス性の疾患であった可能性が高いと見られている。
赤目病に関して、筆者は中国で流行している、エイズに似た症状を見せる病気「マイコプラズマ・ファーメンタンス」に近いものだったのではないかとみている。マイコプラズマ・ファーメンタンスという細菌は唾液で感染すると言われており、罹患した当初は尿道炎に似た症状が出るが、そのうち体全体が気だるくなり、関節炎を起こす。
目が充血する以外は外見上明確な病状が出ることはなく、場合によっては病院でも診断できない場合があるという。幸いこの病気は、ガースニコルソン博士により治療方法が確立されているため、もう不治の病ではない。
(山口敏太郎)
新型ウイルスだったのか?謎の流行病・赤目病
2019.02.24 23:00
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