新書でました:ロマン優光連載130

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新書でました:ロマン優光連載130

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第130回 新書でました

 このたび、コア新書から『90年代サブカルの呪い』という本を出しました。90年代サブカルといっても、悪趣味/鬼畜系サブカルについての言及がほとんどではあります。最近、これらについて感情的なバッシングを見る機会があり、またそれに対する感情的な反発もまた見る機会もあったりするのですが、実際のところ90年代サブカルがどうだったのか自分なりに検証してみた感じの本です。自分で言うのも変なんですが、90年代サブカルを感情的に叩きたい人たちのニーズにも、「90年代サブカル最高!」みたいな人たちのニーズにも応えることがない本にしあがったと思います。どちらからも嫌われる可能性がある本ということですな。
 どんなものにも良いところと悪いところはあるし、時代が進むにつれ感覚は変わるわけで、当時は気にしてなかったようなことでも後から考えるとトンデモないことが起こってたと感じることはあります。そういったものの問題点を感情的に叩いても、特に何も生まれないと思うのです。また、感情的に叩いている人たちの中にはイメージで叩いているだけで、事実に即してない場合があります。何かを批判したいなら、ちゃんと事実を把握した上で批判すべきであり、よくわからないままイメージで批判していると、その事例と関係のないものまで同じように叩かれてしまうことにもなりかねません。殺人者は殺人の罪を追及されるべきだし、詐欺師は詐欺の罪を追及されるべきなのです。詐欺師が殺人の罪で裁かれたりするのはおかしな話でしょう。下手をすると、足を踏んだ人に死刑を求刑するようなことが起こりかねない世の中です。オーバーキルは反発と憎しみを生むだけです。
 事実関係の間違い、解釈の間違いを指摘することは、そこでされている問題提起を否定しようとしているのではないですが、そこを否定されたかのように反応する人がいます。問題提起するなら、ちゃんと事実関係を把握してからしないといけないと思います。どんなに目的が正しかろうと、事実に立脚しない情報をばらまいたり、それに基づいて批判をしていたら、本来は無関係の人に冤罪がかけられるようなことだって起こりかねません。

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