ホンダは英国のEU離脱とは無関係と言っているが、間接的にはトリガー(引金)となった可能性は否定できない。あわせてトルコの工場の閉鎖も打ち出している。八郷隆弘社長が、イギリス南部にあるスウィンドン工場での4輪車の生産を2021年までに終了し、閉鎖すると発表した。
今後は、主力車シビックの新モデルを北米での生産に切り替え、電気自動車の研究開発と生産は中国と日本に集中させるという。
八郷社長は同日の記者会見で「世界の生産能力の合理的な配置を考えてのことで、最良の選択だ」とコメントしたが、英国にすれば最悪の選択となりそうだ。
「現地従業員3500人が働くスウィンドン工場は1985年の設立で、昨年はシビックを16万台生産し、英国の自動車生産量の約10%を占めていた。また、ホンダといえば、かつて経営危機にあった『ローバー』と資本提携するなど、イギリス人にとっては比較的親しみのあるブランドです。F1でアイルトン・セナの黄金期を支えた『マクラーレン・ホンダ』は、まさに日英融合の象徴でした」(自動車評論家)
そんなホンダの工場撤退は、ブレグジット(合意なきEU離脱)に揺れる英国にとって、泣きっ面に蜂。メイ首相も「ホンダには絶望した」と嘆いている。
「ホンダのEU全体における販売不振は深刻で、英国工場にメスを入れる必要性があったのは間違いない。ブレグジットによって、新たな関税問題が浮上していることも理解できる。しかし、電気自動車の研究開発と生産を、中国と日本に集中させるという方針には疑問が残ります」(経済記者)
ガソリンやディーゼルのエンジンに対して規制を強める割に、販売台数が頭打ち傾向にある中国に対して、各国の主要自動車メーカーは距離を置き始めている。それは、中国と蜜月だったドイツですら例外ではない。
「今さら中国での研究開発を強調するなんて、時代錯誤もいいところです」(同)
ヨーロッパを捨て、中国にすり寄るホンダの決断。米中の経済戦争の行方も不透明な中、将来的に吉と出るか、凶と出るか。自動車メーカーは新たな戦国時代に突入した。
世界の『ホンダ』の決断 英国工場フェードアウトは是か非か
2019.03.15 06:30
|
週刊実話
ピックアップ PR
ランキング
総合
社会
1
「西洋医学×漢方×手相」という異色アプローチ 標準治療では救いきれない患者と”科学的根拠”の境界線
TREND NEWS CASTER
2
「個人が変わっても組織が変わらない」のはなぜか? エグゼクティブ・コーチングの盲点を突く「社長+幹部一体型」の勝算
TREND NEWS CASTER
3
なぜビル清掃予算は「30〜55%」も消えるのか?多重下請け構造の限界 ――多重構造の無駄を省いた「科学的清掃」の勝算
TREND NEWS CASTER
4
「受診者が最大3倍に」150円の自己負担でも断る人が皆無だった理由 ――がん検診の「心理的ハードル」を下げる環境整備
TREND NEWS CASTER
5
なぜ都市部で「園庭を知らない子ども」が増えているのか? 私立保育所の7割が園庭なしの危機と、幼児教育が向き合う「体験格差」
TREND NEWS CASTER
6
なぜ「AI PC」はビジネス価値に転換しきれていないのか? ――クラウドの課題を克服し、ローカル処理が迫る「業務基盤の再設計」
TREND NEWS CASTER
7
AIとロボティクスの融合がもたらす創薬プロセスの「最前線」 新薬開発における自動化と人間の役割
TREND NEWS CASTER
8
ブームに沸く「一棟貸し」で、いま勝ち残るビジネスモデル ――1000坪の古民家再生にみる、地方宿泊のニーズ変化と運営のリアル
TREND NEWS CASTER
9
なぜ夏は朝から疲れているのか? 猛暑・熱帯夜に負けないための睡眠対策とケアの視点
TREND NEWS CASTER
10
住宅リフォーム「価格だけで選べない」時代の到来――進む“シンナー不足”と業界の新たな課題
TREND NEWS CASTER