つい先月まで、JR新今宮駅前に位置する『西成労働福祉センター』には、毎朝、夜明けとともに、その日の職を求める労働者や、それを仕切る“手配師”が集まり、仕事にあぶれた労働者たちが、センターの中やその周辺で暮らすという見慣れた光景が見られた。それが、これからしばらくは見られなくなる。
西日本最大の“日雇い労働者の街”大阪・西成、いわゆる「あいりん地区」の中心施設『西成労働福祉センター』が3月31日で閉鎖された。
1970年の竣工から半世紀を経たことによる建物の老朽化と耐震への不安がその理由だ。
今後は建物を取り壊し、約9年後を目処に現在の場所に建て直される予定。建物最上部にある病院も今夏までには移転し、労働者の医療施設としての役目を終えるという。
ある労働者がコップ酒片手にこうつぶやいた。
「安い食堂はあるわ、病院はあるわ、横になれるところはあるわで、センターがあるからホームレスにならずに済んでたんや。それがなくなるんやから、わしら、また道の上で寝な、しゃあない。今のセンターみたいな光景は、しばらくどころか、これで終わってしまうかも分からへんで」
関空から電車で一本というアクセスのよさ、なんばや天王寺にほど近いというロケーション、さらに物価の安さなどがネットで世界中に紹介され、今や新今宮周辺は、外国人観光客やバックパッカーの一大拠点となっている。
外国人からすれば、一泊1500円前後の簡易宿泊所は洒落た外観の格安ホテル、立ち飲み屋は街角のパブだ。そこに目をつけた「星野リゾート」が、5年後には高級ホテルを開業する。
「9年経ってセンターが戻ってきても、もうわしらの居場所はなくなってると思うわ。ヨゴレは出て行け、いうことや」(同)
つまりは、星野リゾートや万博を意識した環境浄化ということか。
「また道で寝な、しゃあない」西成労働福祉センター閉鎖の余波
2019.04.10 18:00
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