去る4月11日に北朝鮮で開催された最高人民会議で、金正恩党委員長が選挙を経ないまま国務委員会委員長(執政長官)に選ばれた。北朝鮮が非民主主義国家であるのは、選挙制度によるものだったが、これで執政制度でも非民主主義国家になったことになる。
今までも諸外国から「君主制」「金王朝」などとヤユされてきたが、これでハッキリ「絶対君主制」の国となったわけだ。
同会議でとりわけ注目されたのが、崔竜海(チェ・リョンヘ)氏が最高人民会議の常任委員長および国務委員会の第1副委員長となったことだ。約20年にわたって、国家元首として親北各国を歴訪してきた高齢の金永南(キム・ヨンナム=91)氏は、ようやくその職を引退し、崔氏がこの席に就いた。
「同氏は、故・金日成主席の盟友でもあった崔賢(チェ・ヒョン)元人民武力部長(国防相に相当)の息子という、いわゆるパルチザン世代を親に持つ『北版・太子党』のリーダーだった人物です。それだけに女性問題を頻繁に起こし、失脚と復活を繰り返してきた“札付き”のワルです。こうした情報は米中韓に筒抜けですから、昨年6月に行われた米朝首脳会談には同行したものの、第2回目や韓国の文在寅大統領との2回の首脳会談、昨年5月に行われた中国の習近平国家主席との首脳会談にも同行していません」(北朝鮮ウオッチャー)
米朝首脳会談に関与してきたメンバーはそろって新たな肩書を得た。李容浩(リ・ヨンホ)外相が新たに国務委員会の委員と最高人民会議の代議員になった他、金正日直結の女、崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官も同じく代議員と国務委員、そして党中央委員の地位を得た。金桂官(キム・ゲグァン)第1外務次官も代議員に加わり、正恩氏がこれまでの対米対話路線を大いに評価する人事となった。
「米朝協議で米国担当特別代表を務めた前スペイン大使の金革哲(キム・ヒョクチョル)氏については、人事に関する情報が出ていません。これは米朝協議が原因ではなく、北朝鮮の在スペイン大使館が襲われた事件と関連していると思われます」(同・ウオッチャー)
そして、3月10日に実施された最高人民会議代議員選挙の代議員名簿から、対米交渉組の中で唯一名前が消えていたのは側近ナンバーワンといわれた金英哲(キム・ヨンチョル)氏だ。交渉責任者として責任を追及され粛清されたのではないかとも推測されたが、今回の最高人民会議では国務委員に再選されたほか、最高人民会議常任委員会委員にも選出されている。
北ではナンバー2は決してワンにはなれない。正恩氏に仕える忠犬のままだ。そして粛清にも一番近い。2人の運命やいかに。
北朝鮮の不気味な政権人事…金正恩党委員長“絶対君主”の座で考えているコト
2019.04.22 22:20
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