〝わいせつ教師〟による犯罪は、平成の時代にも一向に減ることはなかった。
中でも「悪質極まりない」と今でも語られているのが、2001年7月24日に兵庫県神戸市北区の中国自動車道で起こった『中国自動車道女子中学生手錠放置事件』だ。この事件は文部科学省が教師によるわいせつ行為に、原則懲戒免職で臨む方針に転じたきっかけとなったことでも知られている。
いたずら目的で中1少女を手錠と催眠スプレーで監禁し逮捕されたのは、中学教師・福本謙(当時34歳)。福本は事件当日の夜に2ショットダイヤルを通じて少女と知り合い、午後9時ごろ、車に乗せて中国自動車道に入り、路側帯に車を停めてわいせつ行為をした。その後、少女が逃げないように催涙スプレーを吹きかけ手錠で拘束すると、そのまま車を走らせたが、少女が車内から飛び降りると、そのまま助けようともせず逃走した。
「少女はその後、走ってきた10トントラックにひき逃げされ、病院に運ばれましたが4時間半後に死亡しました。前日に家出捜索願が出されていたことから、すぐに身元が判明。警察は何者かによって拉致され車から投げ捨てられたか、自ら飛び降りた可能性が高いとみて、捜査を開始しました。少女は小学校5年生のときからテレクラで援助交際をしており、携帯の通信記録からテレクラ業者が判明。すぐに兵庫県の中学校教師・福本へとつながり、逮捕に至りました。当時、小学生が援助交際をしていたことも世間を驚かせましたね」(地元紙記者)
教師は札付きの要注意人物だった
犯人の福本は、勤務先の中学校でもたびたび女子生徒に触れるなど、その行動が問題視され、〝要注意人物〟としてウワサされていたという。
2002年3月25日、神戸地裁は福本に懲役12年の求刑に対して6年の判決を言い渡した。神戸地検は即刻控訴したが、大阪高裁で棄却され福本の刑が確定した。
この事件では援助交際をしていた女子中学生にも責任があるとして、弁護側の主張が採用され、求刑よりも減刑されたが、本来、子どもを守るべき立場の教師がこのような罪を犯したことは、許されることではないだろう。
また、高速道路に投げ出された少女をひき逃げしたトラック運転手はその後、県警高速隊西宮北分駐隊の任意の事情聴取中に首吊りし、死亡している。
平成史に残る、何とも痛ましい事件だった。
【画像】
少女:Tinnakorn jorruang / Shutterstock、トラック:lassedesignen / Shutterstock