世界各地で発掘される古代遺跡の中からは時おり、当時の人は考えつかなかったであろう「未来の技術」の産物に似たものが発掘されることがある。例えばマヤ・アステカの墳墓から出土した石棺のふたには、コクピットに座る宇宙飛行士のような人の姿が彫刻されていた。また、日本の斜光器土偶は、その独特な姿から、宇宙飛行士をモデルにしているのではないかとする説が存在していた。
熊本県不知火町の桂原古墳では、”飛行するロケットの壁画”が発見されている。こちらはジャガーバックス発行の「宇宙人のなぞ」にある日本の宇宙遺跡分布図で紹介されていた。懐疑派、否定派では誰もツッコミを入れていないので、山口敏太郎が指摘を入れてみる。
3000年以上前の壁画と推測されるこのロケット図は、宇宙人が古代日本に渡来した証拠だと言われている。だが、同じ桂原古墳で発見された壁画を見ると、船とイルカの線画もあり、ロケットではなく南太平洋で使用されているカヌーの絵だと推測できる。
桂原古墳は、海に向かって口を開く石室が主流で、彼らの死生観が海に向けられていたことが分かる。海の向こう、誰も知らない水平線の果てに浄土や楽土があるとする考え方は珍しくない。沖縄ではニライカナイと呼ばれる、神の住まう楽土と冥土が合わさったような場所が水平線の向こうにあると考えられていた。
同地で目撃される不知火にも、多くの不思議な逸話がある。
不知火はアイヌ語で”宇宙から降りてくる光“、あるいは“天かける船”という意味であり、太平洋戦争の末期には不知火海上で原因不明の戦闘機墜落事故が相次いだとされている。このエピソードを受けて「九州大学のUFO研究グループがプリズム分光器を使って、不知火と不知火海上に出現したUFOの発光を分析したところ、同じ不連続波長が出た!」という話が同書には記されている。
おそらく不知火の中にはUFOが混じっており、UFOに惑わされて戦闘機墜落事故が起きたということなのだろう。しかし、そもそも最初に目撃されたUFOは、不知火と見間違えたのではないだろうか。最初に目撃されたUFOが不知火であれば、不知火と同じ不連続波長が出ても不思議ではない。もちろん、不知火そのものが蜃気楼の一種であることは、ほぼ確定的なことだ。不知火を知らなかった海外の戦闘機であればいざ知らず、地元の戦闘機乗りが勘違いして操縦を誤ったとは考えにくい。
昔の子供向けオカルト本には、このように当時の読者を楽しませる目的で誇張した記述が多かったのである。
(山口敏太郎)
桂原古墳に「飛行するロケット?」の壁画がある?
2019.05.18 23:00
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