ワタミのブラック体質が日本に与えた影響を検証

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ワタミのブラック体質が日本に与えた影響を検証

中村淳彦はなぜこの本を執筆したのか

 この夏の参院選に不出馬を表明した渡辺美樹は、「6年間の自分への評価は0点」だと言ったが、自己採点が甘すぎるのではないか。渡辺美樹は日本をマイナスのブラック社会に陥れた張本人だからだ。女性従業員を新卒後わずか2ヶ月で過労による自殺に追い込んだワタミ・渡邉美樹の経営理念とは何か。中村淳彦が書籍紙面で検証する。

 本書はブラック企業という社会を蝕む地獄を生みだしたワタミ株式会社の創業者であり、現参議院議員である〝渡邉美樹〟を検証する本である。
 ブラック企業は労働法を無視して、長時間労働、過大なノルマ、責任逃れ、パワハラ、セクハラ、従業員の使い捨てなどが常態化する企業である。今日も長時間労働や過重なストレスが原因となって被雇用者に精神的に壊れる者や健康被害が続出している。
 私はブラック企業が最盛期だった2008年から数年間、介護事業にかかわって自分自身が長時間労働に邁進し、周囲にいた従業員を巻き込んで自らの経営する介護施設をブラック化させた経験がある。まだブラック企業問題が表面化していなかった時代であり、無意識にそのような状態に陥り、そのおそろしさに気づいたのは自分自身や家族が壊れてからである。
 ブラックまみれの介護事業からは一刻も早く逃げたかったが、経営者なので逃げることはできなかった。私は低賃金、長時間労働が蔓延する介護業界を注意深く観察して、どうしてこのような悲劇が起こるのかを検証した。その大きな原因に、介護を代表とした労働集約型産業において違法労働による浮いた利益を価格ダンピングするデフレ、業界団体のトップや経営者による理念の叩き込み、ベンチャー経営者の執拗なセルフブランディング、美辞麗句によって現実に目を向けさせないマネジメントが存在した。
 業界や社会の救世主として飾り立てられている笑顔の経営者、そして社内や現場の末端には夢、やりがい、職員の幸福、熱い情熱、スイッチオン、想い、志、同志など、美辞麗句が流通している。経営者が全面に前にでて社内の末端がブラック化している法人を観察すると、大抵が労働集約型ベンチャーのカリスマ的存在である渡邉美樹にたどりつく。

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