大相撲九州場所も終盤戦に差し掛かっているが、いまひとつ盛り上がりに欠けている。なぜなら、11日目を終えた時点で、横綱・鶴竜、大関・豪栄道など、7人もの幕内力士が休場する18年ぶりの異常事態に見舞われているからだ。協会関係者は嘆く。
「力士数が足りず、誰を横綱や大関に当てたらいいか、審判部は取組編成に悲鳴を上げていますよ。ただ当てるだけでなく、盛り上げなければいけませんからね」
優勝争い以上に泥沼レースと化しているのが、年間最多勝争いだ。
世代交代の嵐がモロに吹き付けた今年、土俵上は大荒れだった。横綱陣でも稀勢の里の引退をはじめ、休場力士が相次いだ。過去10回もこの部門を制している白鵬も、途中休場を含めて3場所も休場している。このため、最多勝争いも混沌とし、誰が栄冠に輝くのかが分からなくなっているのだ。
九州場所前の時点で、トップは御嶽海と阿炎の45勝。これを44勝で朝乃山が追い掛け、さらに43勝で豪栄道、遠藤と続いていた。休場していち早く戦列を離れたもう1人の横綱・鶴竜は42勝、白鵬も休場がたたり、ほぼ圏外の37勝だった。
先頭争いはいずれもニューフェイス。時ならぬ好機到来に、阿炎は優勝争いそっちのけで年間最多勝に色気を示していた。
「今年はまだ、負け越した場所がないんです。この勢いでがんばりますよ」
大関取りの期待がかかっていた御嶽海も、意欲をかき立てていた。
「意識せず、いつもの相撲が取れればチャンスはある」
ところが九州場所が始まると、両者は空回り。御嶽海は3日目にバッティングで右目の上を切って失速し、二ケタは絶望。阿炎も同様で、上記に名前の挙がった力士で好成績で終えそうなのは朝乃山ぐらいだ。
「これまで最少の年間最多勝は、一昨年の白鵬の56勝でした。まさか白鵬が大逆転することはないと思いますが、史上最低の最多勝になるのは確実な状況です」(担当記者)
これを面白いとみるか、情けないとみるか。いずれにしろ、要注目だ。
大相撲九州場所“大荒れ”で勃発した史上最低の年間最多勝争い
2019.11.21 22:00
|
週刊実話