お江戸の有名発明家・平賀源内(ひらがげんない)。一般的にはエレキテルの発明で広く知られ、教科書にも載っている源内ですが、彼の才能はそれのみにとどまらず、作家や画家としてもマルチな才能を発揮していました。
彼の書いた戯作の中には、おならについて語りまくった「放屁論」など、多くの名作・迷作が今の世まで伝わっています。そんな源内が詠んだ狂歌の中に、現代の私たちでも思わずぷっと吹き出してしまうような面白い狂歌を発見しました!
発明家の平賀源内が狂歌だなんて、意外だと感じる読者の方もいらっしゃるかもしれません。ですがそもそも狂歌とは、上流階級の人や風流人が花鳥風月を詠み込んだ短歌を、もじってアレンジしたり皮肉ったりして、品格などを気にせず庶民が自由に楽しんだもの。
なので発明家の平賀源内が狂歌を詠んだとしても、意外でもなんでもないのです。
そんな彼が詠んだちょっぴり下品な面白い下ネタ狂歌が、こちらです。
「春も立ち また夏も立ち 秋も立ち
冬も立つ間に なえるむだまら」
まず上の句だけを見てみる事にしましょう。「春も立ち また夏も立ち 秋も立ち」・・・。
あれっ、なんだ、過ぎてゆく四季の美しさを詠んだ真面目な歌なのかな、と読み手は思います。しかし、下の句に入り、冬も立つ間に「なえる」という単語で、「えっ?なにが?」とようやくひっかかりを感じます。
そして最後の「むだまら」という単語にたどり着いて初めて、「立ち」という字が「経ち」ではなく「立ち」である意味が分かり、あまりのくだらなさにぷっと吹き出すという仕掛け。
あっ、念のために申し上げますと、「まら」というのは昔の言葉で男性器の異称です。
春も夏も秋も冬も、無駄に立ち続けて春夏秋冬を越し、最後には萎えきってしまった「まら」の事を詠んだくだらなくも面白い、そしてちょっぴり切ない(?)平賀源内流の下ネタなのでした。
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan