散骨のデメリットである別離が実は考え方次第ではメリットになるかもしれない

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散骨のデメリットである別離が実は考え方次第ではメリットになるかもしれない

「亡くなった後は、納骨ではなく散骨してほしい」ーーこういった考えを抱く人も決して少なくはないだろう。散骨葬は何をもたらすのか。また散骨葬を望んだ人々は、どのような意志のもとでその選択をしたのだろうか。

■散骨のデメリットは別離であると言われているが

散骨葬の歴史は長きにわたる。古くは平安時代、才人として知られた淳和天皇は、自らが没した際には遺骨を砕き、山中に撒くよう指示した。この勅令には、後の葬儀がもたらす国民への負担を避けるねらいがあったとされる。淳和天皇は民のことを思い、この世との別離を散骨葬というかたちで表した。

また近年では、ロックバンド・クイーンのメンバー、フレディ・マーキュリーの遺骨も、本人の遺言に従い、親しい友人たちの手によって散骨された。なお、散骨場所は公表されていない。

■散骨による別離が何をもたらすか

フレディが亡くなる直前に収録された「The Show Must Go On 」という曲がある。タイトルを直訳すると「ショーは続けられなければならない」という意味になる。この言葉は2通りの解釈が可能である。ひとつは、フレディがこの世を去ったあとも、クイーンという伝説のロックバンドは続けられなければならないという解釈。そしてもうひとつは、フレディの生涯が幕を閉じようとも、フレディ・マーキュリーという存在は生き続けなければならないという解釈である。墓とは、故人がこの世から旅立った証そのものである。フレディはその別離の証を秘匿することで、彼を愛するファンに向けて、彼の存在を永遠のものとしたのではないだろうか。

このような例から鑑みるに、散骨は、別離を望む心と拒む心、そのどちらにも寄り添った葬送方法だと言える。

■散骨を選択するなら注意が必要

散骨を行うにあたっては様々な手続きが必要となる。なかでも最も重要なものは、故人の意志だろう。これは可能なかぎり生前に確認しておくのが好ましい。遺書において散骨葬の意志が書かれていれば問題はないが、記述がない場合、散骨を行うことが倫理的に難しくなる。

また、散骨までの手続きは、専門の業者を通して行うべきである。仮に無許可で散骨を行えば、法律に触れる可能性が非常に高い。場所、日程、方法などについて、綿密な計画を立てることが求められる。散骨葬は、決して楽な弔い方ではない。散骨に至るまでの思考や事情は様々だろうが、それが遂行されるためには何よりもまず、遺す者と遺される者との意志疎通が不可欠であることを、忘れてはならない。

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