悪心があり悪事を働く女のことを、世間では「毒婦」と呼ぶ。
その「毒婦」という呼び名を一般的に広めたとされているのが、明治時代の初め頃、死刑となった高橋お伝(本名:でん)である。
お伝は、嘉永3年7月(1850年8月)に今の群馬県みなかみ町に生まれ、幕末の慶応2年12月(1867年1月)に同郷の高橋浪之助と結婚。横浜へと移り住んだ。
しかし、明治時代に入り、夫の浪之助がハンセン病を発症し死亡。その後は生活のため娼婦となり、さまざまな男性と交際。
明治9年(1876年)、借金返済のため交際していた男性に騙され、怒り狂ったお伝はカミソリで男性の喉を切って殺害。財布から金を盗み逃走したのである。
お伝は、強盗1件殺人2件(夫の浪之助の死亡もお伝の仕業とされたため)の容疑で逮捕され、明治12年(1879年)に東京裁判所で死刑判決。市ヶ谷監獄にて死刑執行となった。
死刑執行は斬首であり、翌年の明治13年(1880年)には旧刑法の制定により、死刑は絞首刑となることが決定。そのため、お伝は(諸説あるが)日本最後の斬首刑を受けた女囚と呼ばれることがある。
この斬首は、壮絶極まりないものであったようで、執行人は八代目山田浅右衛門(江戸幕府から代々続く死刑執行人の名称)の弟吉亮であり、技術は確かだったものの、お伝は首が切られる直前まで大暴れし、頭や顎から血を流しながら無罪を訴えていた。そのため、狙いが定めずに都合3回も首に刀を入れ、ようやく首を落とすという壮絶なものだったという。
その後、お伝の逸話は「男を次々に殺した悪女」または「身勝手な男に振り回された女性」として、当時の講談や歌舞伎の演目になり、人々に愛されたほか、その人気は昭和期に入っても変わらず、映画や歌謡曲にもなっている。
さまざまな伝説があるお伝だが、実際は不幸な運命に翻弄され続けた悲しいごく普通の女性であった。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)
日本最後の斬首刑?伝説の「毒婦」高橋お伝の真実【背筋も凍る!女の事件簿】
2020.03.15 22:30
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