医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<こむら返り>「就寝中に足がつる重大な病が潜むことも」

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医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<こむら返り>「就寝中に足がつる重大な病が潜むことも」

 寝ている時に突然足がつって目が覚めた──そんな場合は「こむら返り」かもしれない。「こむら」とは、ふくらはぎのこと、筋肉が異常に収縮して痙攣を起こすために発症する。

 就寝中や運動中以外にも、熱中症、寒暖差疲労、冷えなどによる血行不良も「こむら返り」の原因となる。

 発汗による脱水で、筋肉や神経の働きを調節する血液中のカルシウム、カリウム、マグネシウムなど、体内のミネラルバランスが崩れるためだ。

 特に就寝中は体をほとんど動かさないため心拍数が減り、血行が低下した状態になる。そのため、寝返りを打つことで筋肉に刺激が加わると、筋肉の異常な収縮が起こり、「こむら返り」を起こす。対処法は、つっている足の指を持ち、体のほうへゆっくりと引き寄せ、アキレス腱を伸ばすと筋肉のけいれんが抑制される。

 日頃の予防は、ミネラルを多く含んだ食品を摂取することが重要だ。マグネシウムを含むワカメ、ヒジキなどの海藻類、カルシウムを含む乳製品、大豆製品、小魚、さらに、カリウムを多く含むバナナや果物、長芋、サツマイモに豊富に含まれる。就寝前にコップ1杯の水を飲むことも有効だ。症状が重い場合は、漢方薬を服用する場合もある。

 ここで気をつけてほしいのは「こむら返り」には重大な病気が潜んでいる可能性もあること。症状に喉の渇き、腰痛、歩行しづらい、手足のしびれ、言葉のもつれ、強い胸の痛みがある場合は、糖尿病や腰椎椎間板ヘルニア、腎不全、動脈硬化、甲状腺異常など、他の病気も考えられるため、早めに医療機関を受診しよう。

 ふくらはぎの血管が膨れ上がっていたり、血管がクモの巣上に広がって見える場合は、「下肢静脈瘤」の可能性もある。「たかがこむら返り」と、甘くみてはいけないのだ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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