キノコを使って本格的な革製品を開発 image by:Bolt Threads
丈夫で長持ち、使えば使うほどに風合いが増してくる革(レザー)は、昔からバッグや小物、服など、様々な製品に利用されている。
レザーは動物の皮でできていることに抵抗がある人もいるだろう。だが最近では、動物を殺すことなく、環境にも優しい、それでいて質感も本革に引けを取らない代替レザーが開発されつつある。それはキノコから作られた代替レザーだ。
RMIT大学やウィーン大学の研究グループによれば、動物やプラスチックから作られるものに比べて持続可能性とコストの点で優れた、最高の代替レザーであるそうだ。
・環境への負荷が高いレザー
牛の皮から作られるレザーは昔から利用されてきたが、最近では環境への負荷という点でも問題視されるようになってきている。
たとえば家畜を育てる牧場を作るために森林が伐採されるし、牛のゲップやおならに含まれるメタンは、二酸化炭素の10倍という強力な温室効果ガスだ。
また皮をレザーに加工する「なめし」と呼ばれる工程では、環境に有害な化学物質が使われている。
一方、「ポリ塩化ビニル」や「ポリウレタン」から作られる俗にいう「合皮」は、動物の皮を利用することはないが、プラスチックが原料なので化石燃料を使うし、自然に生分解されることもない。
本革シート /iStock
・キノコなら低コストかつ低環境負荷
『Nature Sustainability』(9月7日付)で発表されたキノコから作る代替レザーならそうした問題点をクリアしている。
まずキノコレザーは低コストだ。