日本の性風俗の歴史は古く、太古の昔から現代に通ずる様々な行事や慣習があった。中には信仰や儀式の一環として性的側面が内包されているものも存在する。
今回は、そんな日本の慣習の中でも古代に行われた「歌垣(うたがき)」についてご紹介する。
日本には古来より自然信仰や呪的信仰が存在し、古事記や日本書紀の時代から多くの儀式や行事が行われてきた。歌垣とはこれまでの豊穣を祝い、未来の豊穣を願うための儀式の一つである宗教的行為であり、主に作物の芽吹く春や収穫期の秋に行われた事から、農耕儀礼として定義される。
農耕儀礼である歌垣だが、同時に不特定多数の男女が結婚相手や恋人を求めて集まる「出会いの場」としても機能していた。呪的解釈による植物にも繁殖行為は存在するという観念から、集まった男女間における性の交わりも許容されていた。
山や海など、歌垣が催される場所に集まった男女は、会話や飲食、歌の掛け合いを行いながら互いの関係性を深めた。歌の掛け合いには優劣があったとされ、より魅力的で言霊(言葉に内包されると信じられていた呪力)の強い歌を用いた側が出会いの主導権を握った。