ごく私事で恐縮ながら、筆者は蕎麦が大好きです。皆さんは、いかがでしょうか。
好きと言うのは、蕎麦を味わうのはもちろんのこと、食べるまでのプロセス、いわゆる「蕎麦打ち」も好きです。
蕎麦粉に水を回して生地を練り上げ、平たくのして包丁で切り、グラグラと煮える鍋釜で踊らせてから、手が切れそうなくらいに冷たい水でギュッとしめて、よく水を切ったら無造作かつふわりと盛りつけ……想像するだけで、テンションが上がりませんか?
そんな「作るところからが蕎麦の味わい」という思いは昔の人も思っていたようで、今回は江戸時代の政治家・儒学者として知られている新井白石(あらい はくせき)を紹介。
後世「正徳の治」と呼ばれる幕政改革の大ナタを振るい、政敵からは「鬼」とまで恐れられた彼も、大の蕎麦好きだったようで、その喜びを漢詩にまで詠んだのですが、いったい、どんな作品なのでしょうか。