「天皇」の磁力
天皇家って、なんだか不思議です。
現代の日本で生活していると、大多数の人は天皇家の「権威」「高貴さ」「尊さ」という言葉にはあまりリアリティを感じていないと思います。
そういった天皇家の価値を強調する立場の人もたくさんいますが、あえて強調しなければならないほど、天皇家に関するイメージが大衆化したのは間違いないでしょう。かと言って「象徴」と言われても、それはそれでよく分かりませんしね。
しかし、やっぱり日本史を学んでみると、天皇家というのは歴史上の要所要所で必ず何らかの形で影響力を発揮してきたことが分かります。
その影響力とは、さしずめ「磁力」のようなものです。天皇家が望むと望まざるとに関わらず、日本人の意識はある時にそこに引き付けられ、またある時には一定の距離を保ちつつもやっぱりどこかでつながっている、そんな位置関係であったのだと思います。
今回はそんな「天皇」の成り立ちについて、ごくごく簡単に振り返ってみたいと思います。
天皇と日本政治の関係まず、初代天皇と言えば神武天皇です。日本最古の歴史書である『古事記』に、いわゆる太陽神とされる「天照大神(アマテラスオオミカミ)」の子孫として記されています。
神が天界から地上に降りてきて、国を収めた「天孫降臨神話」。その神たる天照大神の子孫が神武天皇なのです。