核爆弾で天然ガスを抽出しようとしたアメリカの科学者たち
2022.05.27 22:00
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カラパイア
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1950年代後半、アメリカ政府は「プラウシェア作戦」という少々変わった核実験計画を発足させた。
その目的は核爆弾の膨大なエネルギーを土木工事や採掘など平和的に利用することだ。当時、核エネルギーと言えば兵器のことだった。
だが科学者はアラスカに新しい港を開くとか、パナマ地峡に運河を開くとか、核爆発を巨大な発破と捉え、平和的な利用法を見出したいと願っていた。そうした案の1つがガス田の開発だ。
・核爆発で天然ガスを抽出する「ガスバギー計画」
平和利用核爆発で水圧破砕させ、石油・ガス田の地下へ水や砂などを高圧で流し込み、岩石を破壊する。
これによって原油や天然ガスの流れが良くなるので、生産効率が上がる(なお環境への影響が大きく、議論のある方法でもある)。
原子力委員会のメンバーは、核爆発で大きな亀裂を作ることで、よりスムーズに天然ガスを抽出できると考えた。
そこで原子力委員会は1967年、米国鉱山局とエルパソ天然ガス社と提携し、核爆弾が天然ガスの採掘に有効かどうか検証する実験を行うことにした。
実験地として選ばれたのは、ニューメキシコ州デュルセから34キロ南西の地点と、ファミントンから87キロ東の地点の2ヶ所。
砂岩に天然ガスが溜まっていることがすでに知られていたところだ。