英語からの翻訳をまんま使用!?「姉妹都市」という言い回しは、もともとどこが起源なのか

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英語からの翻訳をまんま使用!?「姉妹都市」という言い回しは、もともとどこが起源なのか

男きょうだいを「兄弟」と呼び、女きょうだいを「姉妹」と呼ぶことに違和感を感じる人は滅多にいないと思います。一方で、市政関係などで二つの都市が協力協定を結び、特別な交流プログラムを共有する際、いつも「姉妹都市」という言葉が使われます。「兄弟都市」という言い回しはあまり見かけません。

日本で一番最初に姉妹都市提携が結ばれたのは、長崎県長崎市とアメリカ合衆国ミネソタ州セントポール市で、1955年12月7日のことです。

それは、終戦からわずか10年後、一般日本人の海外渡航が解禁(1965年)される9年前のことでした。ちなみに第2号は、仙台市とカリフォルニア州リバーサイド市との提携でした。

どうして「姉妹都市」と言い、「兄弟都市」とは言わないのでしょうか。細かいことかもしれませんが、気になりませんか?

実は、この言葉遣いの違いは、英語からの翻訳に起因しています。

英語では“sister city”と呼び、それをそのまま「姉妹都市」と翻訳したのです。そこには、一番最初の提携先がアメリカだったということも大きいようです。同じ英語圏でも、姉妹都市のような関係性を、イギリスでは“twin city”(双子都市)と呼んでいますので。

現在の英語では、名詞の性別に関する区別がほとんどなくなっていますが、もともと英語はヨーロッパに起源を持つ言語であり、性別による名詞の使い方がフランス語やイタリア語などの言語と異なりました。

例えば、フランス語やイタリア語では「都市」は女性名詞であることから、“sister city”のほうを兄弟ではなく姉妹の単語に充てたといわれています。この背景がアメリカ英語でも定着し、“sister city”のほうが一般的になったようです。

ただし、国内にはこの慣例に例外もあります。福島県いわき市と宮崎県延岡市は「兄弟都市」と名乗っているんです。これは、江戸時代に内藤正樹が藩主に任じられた経緯に起因しています。

1997年、内藤家が延岡に移住してから250年後に、「二つの都市は兄弟のような存在だ」という思いから、「兄弟都市」と名付け、提携関係を結んだのです。

最近では、「姉妹都市」と呼称を避けて、「友好都市」や「親善都市」と呼ばれることも多くなってきました。

参考:一般社団法人 平和政策研究所公式Webサイト

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