学生時代、メグミはいわゆる「グループ」での友だち付き合いが苦手だった。
小学生の時、一年生から一番の友だちだと思っていたシオリちゃんは、三年生のクラス替えで一緒になったアキちゃんも含めて三人で仲良くしているうちにメグミよりもアキちゃんが気に入ったようで、だんだん疎遠になっていった。
中学時代は修学旅行のグループ分けで余らないように必死で同じ部活の子にアピールをしたし、高校時代は、同じクラスの子みんなと仲良くできていた一方で、お弁当を一緒に食べる“いつメン”をなかなか作れなくて、結局一人でさっさと食べ終わって課題に取り掛かるようになった。
大学生になったらアルバイトで稼いだお金を好きなバンドのライブに注ぎ込むのに夢中になり、サークルに所属してはいたものの、「たまに顔を出す人」くらいの立ち位置であった。
だから、社会人になってSNSで友だちができるなんて思ってもみなかった。いわゆる「リア垢」ではなく、かといって「趣味垢」でもなく――あえて名前をつけるならば「生活垢」。大学3年のときに「リア垢」以外の場所がほしくて始めたアカウントに、だんだん同年代の相互フォロワーができて、そのうちの一人の“ミナちゃん”と「会ってみよう」という話になったのが社会人3年目の時。
これまで一度も会ったことが無かったのに、アルバイトの話から趣味の話、彼氏の話を共有してきて5年目の関係。同い年のミナちゃんとは就活や卒論だってオンライン上で励まし合って一緒に乗り越えてきた。だから、初めて会ったのに全然初めてな気がしなくて、代々木上原でおしゃれに夜ご飯を食べていたはずが、気がついたら三軒茶屋で朝を迎えていた。あっという間の夜だった。
メグミがSNSで知り合った人と直接会ったのはミナちゃんが初めてだったが、ミナちゃんはというと、メグミと共通のフォロワーの5人ほどに会ったことがあるらしい。「次は“ココちゃん”も呼ぼうよ」「今度“ばんちゃん”も含めてライブに行こう」「“アスカちゃん”がメグミちゃんに会いたいんだって」――ミナちゃん経由でメグミの交友関係はじわじわと広がり、そうしているうちに20代後半にして人生で初めての「いつメン」ができたのである。