クマによる被害が過去最悪のペースとなっている。9月末時点で108人、死者が過去最多の9人となっていることを、木原稔官房長官が22日の会見で明らかにした。
木原長官は、「地域でのクマの出没に関する地方自治体からの情報に注意するなど、引き続き十分な警戒をお願いする」と話した。また、9月から始まった「緊急銃猟制度」について言及。「地方自治体への技術的・財政的支援を通じ、円滑な運用を全国に広げていく」と述べた。
この緊急銃猟制度とは、市街地や住宅地などで人命が危険にさらされる緊急時において、猟銃による捕殺を行うというもの。23日午前、北海道札幌市の公園内にヒグマ2頭が居座り続け、同市は道内初の緊急銃猟を検討したが、その後ヒグマは山中に消えたため実施には至らなかった。富山県立山町では22日、緊急銃猟を円滑に行うための実地訓練が行われており、今後、全国的に広がっていくことが予想される。
連日のクマによる人身被害や市街地への出没、駆除の是非について、ネットニュースのコメント欄には多くの意見が寄せられている。コメントでは、駆除の強化やクマの個体数の大幅な削減を求め、人命を最優先に考えるべきという意見が大半を占めている。ほかにもハンターや猟友会の活動への感謝を伝えるコメントもあった。
一方で、動物愛護の観点からクマの保護を訴える声もある。
「もともとクマが住んでいるところに人間が住んだだけで、クマに罪はない」「クマを殺すな」「山に帰せ」といった意見が見受けられる。
参政党の北野裕子衆議院議員もクマの捕殺に反対する一人だ。4月8日の鳥獣保護法改正についての通常国会・環境委員会では「まずは捕殺に頼らない取り組みに全力を尽くすことが筋ではないか」と訴えた。
また北野氏のホームページでは、「動物の地位を下にみて管理の対象としようとする西洋的な価値観は日本人本来の意識とは合わず、私としても違和感を感じる部分でもあります」とした上で、「そうした人間の傲(おご)りを捨てない限り、クマと人間の問題は永遠に解決しないだろう」と主張している。
以前からクマの保護派と駆除派の意見の対立は根強くあった。クマによる被害が過去最悪を更新する緊急事態の中、緊急銃猟の取り組みはやむを得ないだろう。
クマによる被害死亡者が過去最多 緊急銃猟制度と「クマを殺すな」の対立
2025.10.23 13:10
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