その日、21歳のウサギさんは3歳の子供を抱え、寒空の下で途方に暮れていた。
見知らぬ土地で夫と口論になり、夫が一人で男性用サウナに籠ってしまったのだ。
時間は夜の11時ごろ。サウナの前で夫を持つ彼女に、声をかけた人が居て......。
40代になった彼女が振り返る、当時の思い出。
<ウサギさんからのおたより>
私がまだ21で、夫が26、子供が3歳だったころ。
その日は夫の私用に付き合い、知らない土地へ付いて行った。
そこでくだらないことで口論になり、夫は男性専用サウナに入館。手持ちのお金もない私は夜の寒空の下、サウナの前で待つしかなかった。
見知らぬ人に1万円を渡されてお腹は空くし、寒い、眠い......。子供は、大きな声で泣き出した。私にはなだめる余裕もない。
途方に暮れていると、20代後半位の女性が声を掛けてきた。
「こんな夜遅くにどうしたの? 大丈夫?」
「旦那と喧嘩して、旦那が中にいるんです」と答えると、「子供可哀想だから、あたたかい所に行ってたら?」。
私は彼女を鬱陶しく思った。
でも、そんな私に彼女は「私も子供いるから......心配で」って、1万円札を渡してきた。
挙句に、「困った事があったら電話して」と、名前と電話番号まで教えて、去って行った。
夜中の12時になり、泣きじゃくりながらそれから1時間しても夫は、出て来ない......。