『おのれ〜!村重!』
突然、夫・荒木村重の裏切りを知った、妻・だしの絶叫。
手負いの獣のような咆哮を上げ夫の置き手紙を引き裂き、髪も着物の裾も振り乱し、茶道具を飾っていた飾り棚を次々と薙ぎ倒しました。
ギリギリギリと床に爪を立て、まるで目の前に“逃げていく夫の背中”があるかのように凝視して「おのれ、村重ぇ〜!」。
だしを演じる山谷花純さんの鬼気迫る演技、突然天地がひっくり返るカメラワーク、大地に叩きつけるような激しい雨の音、この先の序奏のような雷鳴の演出が見事でした。
だしの「夫を恨むことなく立派な最期を遂げた美人妻」というきれいにまとめた逸話にモヤモヤを感じていたので、むき出しの強烈な心情が伝わる演出には感動しました。
豊臣兄弟 第24回『軍師官兵衛』。
投降を決意するも土壇場で臆病風に吹かれ、おのれの「命」への強い執着に駆られ遁走した荒木村重(トータス松本)の弱さ。
「自分が死ぬことで皆の命を助けることができるなら」と、おのれの「命」をほかの人を生かすことに使う決断をした若き別所長治(下川恭平)の潔さ。
「命」へ思いが、あまりにも異なり過ぎる“二人の対比”が鮮やかに描かれました。
今回は、村重・だし・長治の場面を振り返りつつ、それぞれの「命」への思いを考察してみました。