会社に行くために急いでいたかもしれないのに......。
60代女性読者・Rさんが思い出すのは、高校時代の体験。
通学中に体調が悪くなった彼女は、電車の中で倒れてしまって――。
<Rさんからのおたより>
高校生のとき、電車通学をしていました。
ある朝、電車に乗り遅れそうになり、朝食もとらずに最寄り駅まで必死で自転車をこぎ、慌てて電車に飛び乗りました。
すると、吊り革を持ちながらだんだん眼の前が真っ暗になっていきました。
そしてとうとう立っていられなくなりその場で倒れてしまったのです。
朝の忙しい時間にも関わらず...意識はあったのですが、手を床についた状態で立てずにいると、近くにいた若い女性が私の腕を持ち、支えて起こしてくれていました。
「貧血? 大丈夫?」と言いながら私を支えて学校の最寄り駅で一緒に降りてくれて、そして駅のホームの椅子に座らせてくださり、横に座って背中をさすってくれたり、励ましてくれたり、駅員さんが来るまで隣にいてくれました。
その女性は、おそらく20代後半のOLさんだったと思います。急ぐ朝の時間に、私のために時間をさいてまで介抱してくださったのです。
多分私の制服を見てその駅で一緒に降りてくださいましたが、彼女は違う駅で降りなければならなかったかもしれません。
当時の私はそんなこともわからず、自分のしんどさばかりに気をとられていました。
数分で駅員さんが来て、駅長室でしばらく横にならせてもらっていましたが、その間に、彼女の姿は見えなくなっていました。私はお礼を言うこともできませんでした。
還暦もとうに過ぎた今、数十年前のあの女性の優しさを思い出し、涙するときがあります。
忙しい朝の通勤時間に、高校生だった私をあれだけ優しく介抱してくださったOLさん。お礼も言えずに、別れてしまって申し訳なく思っています。
本当に本当にありがとうございました。
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名前も知らない、どこにいるかもわからない......。