旅行先で財布を盗まれた......。
そんな最悪の状況に、大学生時代のKさん(投稿時:50代男性)は陥った。
しかし、その旅の思い出は市場で出会ったある人のおかげで、悪いだけのものではなくなったという。
<Kさんからのおたより>
大学生だった1991年9月。友人6人と北海道をレンタカーで周る旅をしていました。
知床半島某所の日帰り入浴中、私を含む3人が、お財布などの盗難に遭いました。たまたま借りていた車がワンボックスということもあり、その先数日間は節約のため車中泊で過ごすことになりました。
被害に遭わなかった友人からお金を借りたものの、私は幹事だったこともあり、不甲斐なく情けない思いでいっぱいでした。
市場で店の人に「買って行かないのか?」と問われてレンタカーを返却して東京へ帰る日に、被害に遭わなかった友人がお土産を買いたい、というので釧路の和商市場に寄りました。
市場内を歩いていると、沢山のお店の方々から威勢の良いお声がかかりました。
その中でひと際威勢が良く、且つ優しそうな声で話し掛けてくださるお店の方に会いました。
そのお店で友人が買い物をしていると、「他の兄ちゃんたちは買って行かないのか?」と言うので、お金がない事情を話しました。
すると、「200円くらい持っているか?」と言い、指差す方向の「お弁当屋さんでご飯を買って、持って来い」と言うのです。
買って持って行くと、ありったけのイクラをのせてくれました。
有難くて涙をこぼしながら、かき込みました。
今でも「北海道」という言葉を聞くと、和商市場を思い出します。
【このコーナーでは読者のみなさんからの投稿を紹介しています】
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」、あるいは「どんなもんだい!」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。