あまりの体調不良で、立っていられない。話しかけられても、何を言われているかわからない。
兵庫県在住の30代女性・楓さんは会社から早退する電車の中で、そんな状況に陥っていた。
床に座り込んだ彼女は、高齢の男性客に手を引かれて......。
<楓さんからのおたより>
二十代半ばで転職し一年ほどたった頃でした。
先輩社員の退職と繁忙期、新規事業などで多忙を極めていたある日、高熱と生理痛による貧血と腹痛で早退しました。
何とか電車に乗るまでは気を張ることができていたのですが、帰りの電車は平日の昼間でも座るところは無いほど混んでいました。当時は電車で一時間ほどの所に一人で住んでいたので、電車に乗るなりドア横のスペースにもたれ掛かって「あと○駅......」と必死に堪えていました。
その場にズルズル座り込んで...しかし、数駅過ぎた当たりで立っていることに耐えきれなくなり、ズルズルとその場にうずくまってしまいました。
しばらくして通路反対側の座席で寝ていたはずのおじいさんがそばに来て声を掛けてきていることに気づきました。
朦朧とする意識のなかで何を聞かれてるのか理解できず「すみません」としか答えられなかったことだけを覚えています。
さらになにかを聞かれ答えられずにいると、おじいさんは私の腕を引き、自分が座っていたであろう場所に座らせてくれました。
体調不良による心細さの中で気遣って頂いた嬉しさと、迷惑を掛けてしまったという申し訳なさで泣けてきてしまい、まともにお詫びもお礼もお伝えすることができないまま眠ってしまいました。
一人で耐えなければと必死になっていた私にわざわざ通路の反対側から気づいて声を掛けていただいたことがとてもありがたいと思ったこと、今でも忘れていません。
あれから10年以上たちますが、この場をお借りしてお礼をお伝えできればと思います。
本当にありがとうございました。
【このコーナーでは読者のみなさんからの投稿を紹介しています】
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。