電話ボックスに置き忘れた、大切な鞄。それが見つからないと、大変なことに......。
東京都在住の60代男性・Mさんの若き日の失敗と、それを救ってくれた人。
<Mさんからのおたより>
もう今から40年ほど前、損害保険会社で営業マンとして働いていた時のことです。
まだケータイ電話もなく、外から会社やお客様に電話を入れる時は公衆電話を使うしかなかった時代です。
ある時お客様から集金したお金をアタッシェケースに入れて持ち運んでおり、会社への定時報告と次のお客様に少し時間に遅れそうという電話を入れるため、車を止めてアタッシェケースを持って公衆電話ボックスから電話を入れました。
そして車に戻り、走り出して10分ほど走ってから、いつも助手席に置くアタッシェケースが見当たらないことに気付いたのです。
電話ボックスに戻ったが...あれ? 後ろの席に置いたかな、と思い車を道路脇に停めて確認。アタッシェケースはありません。みるみる頭から血の気が引いていくのが分かりました。
何故ならばアタッシェケースの中にお客様から集金した小切手と現金でおよそ800万相当(おおよそ現金100万小切手700万)と、領収書が入っていたのです。
保険会社にとってこの領収書が無くなることは現金800万が無くなるより大きな事故になる可能性があります。この領収書を使って他人から保険料と偽り大金を手にすることができるからです。
頭の中でどこに置きわすれたのかと確認していき、電話ボックスで会社とお客様に電話を入れた時だと思いあたりました。
しかし直ぐにUターンして戻って電話ボックスの中を見渡しても、アタッシェケースは見当たりません。
どうしたらいいんだ! 鍵はかけて無いので誰でも開けることが出来る。これはもうダメだなと半分諦めた時、ふと目をやると斜め向かいにタバコ屋さんがあるのが目に止まりました。
もしかしたら、とタバコ屋さんに行き事情を話すと、サラリーマン風の男性がアタッシェケースを預け、「これは凄く大事な物が入っています。必ず探しに来ますから預かって置いて下さい」と言い残し、名前も告げずに立ち去ったとのこと。