中国・上海で人気の日本式キャバクラ、黒幕はジャパニーズヤクザ?

「日本人ヤクザの姿が目立つようになったのは、2000年代半ばくらいからですね。中国人と組んで、日本人駐在員向けのガールズバーやKTV(キャバクラ)、日本式ソープ、デリヘルなどを運営したり、仕切りをしています。上海の場合、住吉会系のヤクザが多いですね」

 こう語るのは、中国上海で日本企業が多く集まる〝日本人街〟の一つ、「虹古路」で日本食レストランを経営するM氏(40歳)。虹古路はヤクザが進出するまでは、地元のマフィア組織が錯綜し、混沌とした状態だったというが、現在は日系ヤクザと上海マフィアが手を組み、上海でも珍しい独特な勢力図が出来上がっているという。

日本人の失踪事件が頻発

「こちらでは有名な話ですが、2010年頃から、日本企業の社員が行方不明になったり、日本人向けクラブのママが殺害されたりといった噂が頻発するようになった。噂の半分は事実だと思います。こちらでは、ヤクザやマフィア絡みの案件はすべてカネでカタがつきます。ヤクザ+マフィア連合の上には、公安の幹部や共産党関係者がいるのは間違いない。そうじゃなきゃ、ガイジンであるヤクザがこれほど堂々とシノギができるはずない」(M氏)  

 上海の日本人街に進出したというヤクザだが、これは組織としての進出なのだろうか。

 S会系の幹部で、中国にスクーターなどを大量に流しているというY氏は言う。

「組織だってではなく、ほとんどが個人の裁量で進出している。まあ、日本が食えないから副業のようなものだ。90年代に中国から不良が大勢日本に来てただろ? その頃からの繋がりで、中国で商売してるんだよ。中国東北地方は怒羅権系が多いが、上海はピッキング窃盗団上がりの連中が多いね。俺も、90年代に日本でボロ稼ぎした上海人窃盗グループの元リーダーにカネを出させて、いま上海でソープをやってる。表向きはマッサージ店だが、一歩店内に入ると、吉原並の設備が揃ってるよ。女は日本人が3名、中国人が7、8名。公安にはもちろん賄賂を払って、摘発を見逃してもらってる。客は上海の日本人ビジネスマンと中国人の富裕層だよ」

 かつて日本で大暴れしていた不良中国人が、日本人ヤクザと組んで、ひとつの勢力を生み出している――上海には、そんな構図があるようだ。

(取材・文/小林靖樹)

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