【中央競馬・今週の狙い馬】
前哨戦を勝ち本番も制する。際立った力量があれば別だが、今の競馬で連勝を決めるのは容易ではない。表現を変えればそのステージにより適した馬を狙う。ネームヴァリューに押されることなく勇気を持って向き合う姿勢が必要だろう。
と、格好をつけた書き出しから入るのは、今週末は3日間も競馬を楽しめるうえ、秋G1戦線に向けて要注目の京都大賞典と毎日王冠を含めて４つも重賞が施行される実状を踏まえてのこと。
京都大賞典の大本命はデスペラード
しかも、自慢めいた内容で最初の1頭を推すのだからたちが悪いが、デスぺラードはそれだけ地力をつけている。そう、京都大賞典の有力馬だ。
前々走の京都記念。6番人気の伏兵は、追い込み馬の印象を覆して先陣を切り後続を封印した。いただいている予想の仕事で◎をつけさせてもらったのは、有馬記念を観て逃走劇の予感がしたからだ。トリッキーなコース形態にもかかわらず無理をすることなく中団につけている。ゲートから最初のコーナーまで十分な距離がある京都の2200mなら主導権を握れるのではないか。そう判断できたことと、ジェンティルドンナはドバイ遠征を控え、トーセンラーはマイルCSを制覇して休養に入り休み明けで中距離戦を迎えるという背景があったことによる。例え強豪が相手でも目標が違えば金星は可能だと判断できたのだ。
天皇賞（春）の大敗は、気難しい性格が災いしたこともあるだろうが、距離が長過ぎたように思う。長距離戦でのんびりと走り直線にスピードを集約させていた以前と異なり前向きな気持ちがでている。いったんは後続に飲み込まれかけ差し返した京都記念の勝利。そして集中力が途切れたかのような春の盾の17着にそれが反映されていると個人的に解している。逞しい腹構えと体型は中距離馬として完成されてきた証しだろう。京都の2400m戦なら楽しみだ。
毎日王冠はグランデッツァ、エアソミュール
毎日王冠ではグランデッツァに目がいく。スピードを持続できるタイプで、コーナーがふたつある東京1800mは、申し分のない舞台設定に映る。全4勝をこの距離で挙げている点も心強い。下り坂の空模様だが開幕2日目なら踏ん張りが利くはずだ。
同レースではエアソミュールにも注目している。発馬直後に躓き4角でタイトな体勢を強いられた前走でも伸びている。ハートも強くなっており、ジャングルポケット産駒らしくこのコースにも向きそうだ。
2歳重賞いちょうS、障害G2東京ハイジャンプはこの馬
新設重賞・いちょうSはサトノフラムの持つスピードとパワーに逆らう気はない。心配点はあまりに楽に初戦をものにしたことぐらいか。2戦目は難しさがつきまとうもの。ならば3戦目のクラリティスカイはどうか。加速力があり前走タイムも優秀。中1週で関東遠征に臨めるタフなところも頼もしい。
東京ハイジャンプは障害5戦オール連対中のエーシンホワイティが怖い。跨ぐような飛越で速度が落ちず緩急も利く。コースが変わり障害が高くなるのは少々気になるがカバーできる範囲だろう。左回りも順回り向いており、この馬の適性が生きるレースだと考えている。
- 藤村和彦（ふじむらかずひこ）
- 競馬解説者。1992年から2010年までデイリースポーツ社で記者、デスクとして中央競馬を担当。現在は、週刊『競馬ブック』誌上での「藤村和彦のインタビュールーム」連載、ラジオ関西「競馬ノススメ」（毎週土曜16時30分〜17時）レギュラーなど、フリーで競馬予想、競馬解説、コラム執筆などの活動をしている。
- 公式サイト／netkeiba.com｜No.1予想 藤村和彦
(Photo by super ma-kun)